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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「夜の盗塁王と呼ばれた男」高橋慶彦の“モテモテ伝説”がスゴかった「野球と私、どっちが大事なの?」「野球に決まってんじゃん」本人が語る真相
text by
長谷川晶一Shoichi Hasegawa
photograph bySankei Shimbun
posted2024/08/01 11:05
球界でも指折りのプレイボーイとして知られた高橋慶彦。「夜の盗塁王」と呼ばれた現役時代の“モテモテ伝説”について本人が語った
これもまた、慶彦の「時間割理論」である。
時間割の基本はあくまでも野球にある。野球以外のことに時間を割くならば、「登校前」か「放課後」しかない。公私の区別は徹底していた。
歌手活動にラジオのDJも…“幻の名曲”とは?
もちろん、これだけの人気者を周囲は放っておくはずがない。
レコード会社も、その人気に目をつけるのは当然のことだった。当時のプロ野球選手にとってレコード発売は大きな勲章でもあった。もちろん慶彦も、何枚ものオリジナル曲をリリースしている。中でも『うわさのセクシークィーン』は「野球ソングの名曲」として、今でも熱狂的な人気を誇る幻の一曲だ。
「あの頃はラジオの番組も持っていたからDJもやったし、リスナーからの人生相談もやったし、まぁ、調子に乗っていたよね。でも、今になって思えばやってよかったと思うよね。たまに、“レコード持っています”っていうファンの人がいるからね。自分では、“何が、セクシークィーンだ”って思うけどね(笑)。だけど、大切なことは“決して本業を忘れない”ということ。副業が本業になったら絶対ダメ。そこだけは絶対に忘れんかったからね」
改めて、82年に発売された慶彦のベストアルバム『YOSHIHIKO』を取り出してみる。自身の曲だけでなく、79年7月31日の「日本新記録!! 33試合連続安打」や、79年の「日本シリーズMVPインタビュー」など、実況中継も収録されたLPである。
『君の声がきこえる―広島カープファン讃歌―』『僕の世界へ』『青春の一ページ』『鏡の中のメモリー』など、『うわさのセクシークィーン』以外にも、甘い歌声が並ぶ青春ソングを聴きながら、今この原稿を書いている。
風の香り 変わる頃に
恋もほどよく終わりを告げ
気に入りのこの店も色あせた
Bitter and sweet memory(『鏡の中のメモリー』)
森田公一のメロディが心地よく耳に響く。