選手たちは「当時とは無関係」と繰り返すものの、2011年のW杯決勝アメリカ戦をチームで見る機会も数度あったという。意識するのは当然だし、号泣につながるほどのプレッシャーを抱えていたとしても無理はない。

谷川はミックスゾーンで「泣いちゃいました（笑）」

　ちなみに2得点に絡んだ谷川は笑顔でミックスゾーンに登場した。試合後にはピッチでチームメイトとともに涙したという。

「泣いちゃいました（笑）。この一戦に集中という思いを持ってみんなが挑んで、それを勝ち取れたのは大きかったと思います」

　などという話を笑顔でしていたにも関わらず、直前まで別メニュー調整が続いていたことについて聞かれると、急に涙を流し始めた。本人としては様々な思いで本大会に臨んだようだが、妙なタイミングでの涙に隣で取材を受けていた熊谷紗希は「え？ なんで？ 勝ったんだよ」と笑いながら突っ込みをいれていた。

主将の熊谷と谷川のハートマークポーズ　©Takuya Kaneko/JMPA

　2005年生まれの谷川にとって、プレッシャーの理由は先輩たちと少し違いそうだ。

　さて、これで1勝1敗のなでしこジャパン。最終戦の結果次第では、他力ではあるものの首位突破の可能性が残っている。目標から逆算するならば首位突破の方が良いに決まっている。涙の激闘は彼女たちをどのように変えたか。最終戦のナイジェリア戦に注目したい。

＜つづく＞