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谷川萌々子衝撃ゴールの裏で“なでしこ号泣ミックスゾーン”「また自分が壊しちゃうんじゃ」PK失敗・田中美南がタオルで涙を、取材記者も思わず…
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byNaoki Morita/AFLO
posted2024/07/31 17:06
ブラジル戦でデュエルする谷川萌々子と田中美南
田中の脳裏によぎったのは東京五輪初戦のカナダ戦。0−1で迎えた50分、田中は自ら得たPKを失敗してしまった。84分に岩渕真奈のゴールで追いついたが、大会初戦で勝ちきれなかった。この日のブラジル戦でも前半アディショナルタイムにPKを失敗した時に、あの試合を思い出したというわけだ。
「本当やっている最中も、怖かった気持ちもあったんですけど、やっぱり試合に出てる限り、(監督の池田)太さんが信じて出させてくれてる限り、やっぱりゴールを狙い続けたり、守備でも追わなきゃって気持ちの中でやってました」
正直もうわかんないです…みんな泣いていて感動しました
話すうちに少し落ち着いてきたようにも見えた。 “怖かった”というのはどのような感覚か、尋ねてみた。
「東京五輪のこともありましたし、もちろんPKも、このときのために準備して入ったんですけど(PK失敗に)ガッカリしましたし、またこのまま負けたりして、次にまた厳しくなって………というカナダ戦(からの流れ)もあったので、そういう意味で怖かったです」
つまるところ、前回大会でグループステージの戦いを厳しくしたのは、自身のPK失敗のせいと捉えているようだった。だからこそPKに関しては、対策を続けてきた。だが、キックは力なく枠の甘いコースに飛んだ。こんなはずではなかったという思いが言葉に滲む。
「正直もうわかんないです。本当に映像も見てきたし、練習もしてきたし、自分の中で自信持って、臨んだはずだったんですけど、こうなったってことです」
涙がこみ上げてきたのは試合終了のホイッスルとともに、だという。
「安心と、みんな泣いていて感動しました」
涙は安堵と感動が理由だと、説明した。
今のなでしこの立ち位置と「W杯優勝+銀メダル」の記憶
今のなでしこジャパンは正直なところ、世界の強豪だった頃とは違う。
前回の東京五輪は予選を経ずに本大会に進出。ホームのアドバンテージがあったにも関わらず、8強止まり。さらにさかのぼり、2016年のリオ五輪はホームでの予選開催だったにもかかわらず、出場権を得られなかった。高く評価された2023年のW杯でも準々決勝で敗れている。
それでも、チーム内外には2011年W杯優勝、2012年ロンドン五輪銀メダルの記憶が残っている。