質問に「ないっす」連発…記者泣かせな19歳の素顔

――例えばいつも通りにプレーするために、試合前のルーティンを大事にしているとか、そういった心がけは？

「ルーティンはあまりないですね。面倒くさいですし、できなかった時に……いや、違いますね。ルーティンをやらなきゃいけないって思うのが嫌ですね。フラットな状態でいればいいかなって思っています」

　やるべきことをルーティン化しておくことで、パフォーマンスを発揮しやすくなると語る選手は少なくない。ただ、そのやるべきことに縛られ、ルーティンをこなせなかったときに「いつも通り」が出来なくなってしまっては意味がない。だから、ルーティンは持っていない。彼なりに筋は通っているのだ。

――スタジアムに到着してロッカールームに入ってからも、やることは特に決めていない？

「何もないっす（笑）」

　素っ気なく、笑われた。

インタビュー中、うっすらと笑みを浮かべる高井幸大　©Shigeki Yamamoto

　元々、理路整然とコメントを並べるタイプではない。試合後のミックスゾーンでも言葉は少なめで、いわゆる“コメントの取れ高”も少ない選手だ。ただ質問に対する返答をはぐらかしているわけでもなければ、性格が天邪鬼というわけでもない。単に、質問に対する答えを持ち合わせていないから、素直に「ない」と答えているだけなのである。

　それでも、「最低限、これだけはやるというのは？」と食い下がると、「うーん」と唸り、記憶の糸を手繰り寄せながら、その引き出しを開けてくれた。

「炭水化物を摂るぐらいです。エネルギーになるので。糖質もですね。あとはスマホのゲームをしてます。そのときにハマってるやつです（笑）」

　そう、あっけらかんと話す。

　どこか掴みどころのない若武者は、試合後もすぐに眠りにつくという。多くの選手は、勝敗に関わらず、試合後は寝付けないものだ。勝負の熱が身体にまだ残っているためか、頭もクールダウンせず、「結局、朝方まで寝られなかった」なんて話もよく聞く。

　高井は違う。試合後は、大抵すぐに眠れるのだという。「たまに帰りのバスでもう寝ています」と笑っていたが、おそらく事実なのだろう。

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