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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
最年少19歳で守備の要に…パリ五輪代表CB・高井幸大はメンタルも規格外?「5失点のあと…めっちゃ寝ました」“面倒くさがりな努力家”の素顔
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph byShigeki Yamamoto
posted2024/07/24 11:05
インタビュー中にニヤリと微笑む高井幸大(19歳)。パリ五輪では守備の要としての活躍が期待される
屈辱的な大敗当日も「めっちゃ寝ました」
とはいえ、感情が昂って眠れない日もあっただろうと思い、ある試合の記憶を尋ねてみた。
それは今年5月15日、Jリーグ第14節のサガン鳥栖戦だ。この試合で高井は記念すべきJリーグ初ゴールを記録している。瀬古樹のCKに合わせてニアサイドから打点の高いヘディングで豪快に突き刺した先制ゴールだった。無邪気に喜ぶ高井を先輩たちが取り囲み、少しだけ手荒く初得点を祝福していた。
ところが試合はその後に5失点を喫し、屈辱的とも言える大敗となった。失点に関する責任の全てを彼が負う必要はないが、自身の対応の不味さから招いた失点があったのも事実である。試合後のミックスゾーンでは初ゴールには触れることもなく、「5失点はあり得ない。切り替えて頑張りたい」と言葉少なに取材を切り上げている。見るからに憔悴していた。
あの試合後は、悔しさでさすがに眠れなかったのではないか。そんな風に思って尋ねてみたのだが、「ないです。めっちゃ寝ました」と即答だった。思わぬ回答に、こちらも笑ってしまった。でも、それでいいのだ。期待した答えは返してくれない。そのマイペースさ、底知れなさこそ、高井幸大なのである。
「サッカーノート? 一生やらないっす(笑)」
彼を取材していると、たびたび返ってくるフレーズが「面倒くさい」だ。
ルーティンを持たない理由もそうだが、「面倒くさいことが嫌いなんです」と本人は公言する。例えば日記を書く習慣や、サッカーノートをつける習慣もない。「絶対にやらないですね。一生やらないっす(笑)」と断固たる決意を口にしていた。読書は習慣にしたいと思っているが、なかなか手が伸びない。その理由はどれも「面倒くさい」からだ。高井幸大の辞書の中で、最初に出てくるフレーズは「面倒くさい」かもしれない。
ただ勘違いしてはいけないのは、やると決めたら、それがどんなに面倒であってもやり続ける性格であるということである。
実際、去年の夏から始めたという英語の勉強は地道に続けている。
「最初はオンラインでやっていたんですけど、コマ(講義)を入れるのが面倒くさくて(笑)。2、3カ月やらなくなって『やばい!』と思ってから、また再開しました。今は本を買って勉強したり、字幕のついてるYouTubeを見たり、という感じですね」