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「6億円で0戦0勝」の馬も…セレクトセール“高額落札馬は走らない”は真実か? 歴代トップ10の“意外なその後”「自分の値段以上に稼いだ馬は…」
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島田明宏Akihiro Shimada
photograph bySankei Shimbun
posted2024/07/14 11:00
「歴代3位」の5億8000万円で落札されたアドマイヤビルゴ。ここまでリステッドを3勝しているものの、重賞には手が届いていない
10位タイはホウオウプロサンゲ(牡、父キズナ)の4億1000万円で、3歳の現役馬。7戦1勝で、2150万円を稼いでいる。今年のセレクトセールで落札されたセリエンホルデの2024(牡、父キタサンブラック)が4億1000万円でここに並ぶ。
もっかのところ、トップ10で自分の値段以上の賞金を稼いだ馬はいない。
高額落札馬がみな走らないというわけではない
視点を変えて、GIを勝った馬の高額落札ランキングを見てみると、史上1位は2019年の菊花賞などを勝ったワールドプレミアで、2億4000万円(16年セレクトセール)。獲得賞金は4億5594万円。2位は2016年の菊花賞などを勝ったサトノダイヤモンドで2億3000万円(13年セレクトセール)。獲得賞金は8億6624万円。2位タイは2003年からエリザベス女王杯を連覇したアドマイヤグルーヴで2億3000万円(00年セレクトセール)。獲得賞金は 5億5133万円。
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ワールドプレミアとサトノダイヤモンドは種牡馬になっており、アドマイヤグルーヴは繁殖牝馬として二冠馬ドゥラメンテを産むなど生産界に大きく貢献している。種牡馬になるとシンジケートが組まれて馬主に10億円単位の利益をもたらすこともあるので、これらの馬は引退後も馬主孝行でありつづけた、というわけだ。
高額落札馬はみな走らないというわけではなく、歴代トップ10になるほどの超高額馬で大活躍した馬は今のところ出ていない、と言うべきだろう。
実は、3年前のセレクトセール直前の本稿でも、同様に高額落札馬のその後を振り返ったことがあった。今回も同じような内容になるかと思いきや、そうならなかった。この3年で高額馬が続出してトップ10の順位が入れ替わったり、1位のディナシーの牝系が枝葉をひろげていたりと、思っていた以上に状況が大きく動いていたからだ。
数年に一度「あの高額馬は今」という定点観測的な企画は十分に成立する。
ディープインパクトは7000万円で落札され、競走馬として14億5455万円を稼ぎ、51億円のシンジケートが組まれた。ジャスタウェイは1200万円で落札され、競走馬として国内外で9億円以上稼ぎ、額は非公表だが種牡馬として(おそらく億単位の)シンジケートが組まれた。
そういう馬はジャパニーズドリームの具現者と言えるだろうし、3億、4億で落札された馬が自分の値段の何倍も走るようになったとしたら、それはそれで夢がある。
高額落札馬の今後に注目しつづけたい。

