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「2秒で決めました」伊藤洋輝が“バイエルン入団会見で語らなかった”移籍ウラ話「ロマーノ砲…どこから情報を!?」代表戦後の機内で見たスマホ
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byHideki Sugiyama
posted2024/07/17 11:05
バイエルン加入が決まった伊藤洋輝。チーム合流を前に、NumberWebの独占インタビューで「移籍の真相」を語り尽くしてくれた
シュツットガルトの守護神アレクサンダー・ニューベル。彼は現在バイエルンからのレンタル移籍中なのだが、昨シーズン終盤にレンタル期間が延長された。ただ、そこには“最長で2025-26シーズンまで“という特別事項がついている。ニューベルはバイエルンの現守護神マヌエル・ノイアーと折り合いが良くないこともあり、2021年にモナコへ、2023年にシュツットガルトへレンタルされ、バイエルンの守護神の座が空くのを待っている状態だ。
現在38歳になるノイアーの現行の契約は今シーズン末までだが、来シーズンまで延長される可能性があるという。ただ、今シーズン限りでノイアーが退団や引退した場合には、ニューベルのレンタル期間を1年早く切り上げ、バイエルンに戻れる契約になっているわけだ。
つまり、今回の移籍は昨シーズン大躍進して2位に入る原動力となった、ヘーネス監督、ニューベル、伊藤のユニットを順番に揃えていく大型プロジェクトのための重要な第一歩であるようにも見える。だからこそ、価値があるのだ。
「here we go!」ロマーノ砲を見たのは機内だった
そんな伊藤のバイエルン移籍が決まるまでにもう1つ、裏話がある。冒頭に記した、ミュンヘンに向かう飛行機の中でのことだった。
機内でスマホをWi-Fiにつなげると、世界中の移籍情報をスクープすることで有名な人物、ファブリツィオ・ロマーノのXでの投稿に気がついた。
「Hiroki Ito to Bayern, here we go!」
そんな一文で始まるポストは、伊藤のバイエルン移籍が決定的だと伝えるものだった。
「移籍については『誰にも話さないように』と言われていたから、その通りにしていました。みんなも知らなかったはずなのに、飛行機の中であの投稿を見て『一体どこから、情報を得ているんだ!?』と思いましたよ。契約するまで誰にも知られずにいきたいと思っていたんですけど(笑)」
返信しないでいると、ロマーノからのDMが
日本では〈ロマーノ砲〉とも称される投稿が出てから、バイエルンとのサインが終わるまで、数え切れないほどのLINEのメッセージやDMが届いていた。移籍市場では何が起きるか最後までわからない。メッセージの大半に目は通すものの、返信はしなかった。そのなかで、あるDMに気づいた。
ロマーノからだった。
「Good luck, Brother!」
ロマーノはこんなメッセージまで送りつけてくるのか。
苦笑しつつも、驚かずにはいられなかった。サインが終わり、晴れてバイエルンの一員になってからみんなに返信をしていった。一応、ロマーノのメッセージには「いいね」を押しておいた。
もちろん、その後、やり取りは一切ない。
様々なタイミングや背景があるにせよ、今回のバイエルン移籍が実現したのは伊藤の選手としての能力が評価されたからである。では、伊藤はここまでどのように成長してきたのか――。そこにもフォーカスしていこう。
<つづく>