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「松木の落選をどう思った?」記者30人がFC東京・荒木遼太郎に殺到した…松木玖生“まさかの落選”のウラ側、町田・黒田剛監督も“教え子”に気遣い
text by
栗原正夫Masao Kurihara
photograph byKiichi Matsumoto
posted2024/07/06 17:00
FC東京・荒木遼太郎(22歳)。パリ五輪の選出選手記者会見の後、囲み取材に記者30名ほどが集中した
メンバー発表の行われた日、同会場では3時間後に「U-23日本代表選出選手記者会見」も行なわれ、都内の会場には関東圏のJクラブ所属の選手が集まった。
FC東京からはメンバー入りしたGK野澤大志ブランドンとMF荒木遼太郎の2人が出席し、壇上でメンバー入りした喜びなどを語った。その後、各選手がそれぞれ追加取材に応じていたが、最も多くの記者を集めていたのが荒木だった。荒木の周りには記者が30人ほど集まり、大きな輪ができていた。
多くの記者が、FC東京の同僚でもある荒木が「松木の落選をどう受け止めたか」が気になっていたのだろう。
荒木はパリ五輪世代でも、早くからその才能を高く評価されてきた選手だった。最終予選をかねたU-23アジア杯では攻撃のジョーカー的な役割を果たしたが、鹿島に所属していた昨季までの過去2年間はケガなどもあって思うような活躍を見せられていなかった。だが、今季FC東京に期限付き移籍すると開幕から出場機会を得て、同世代の松木らと融合し、その能力を再び発揮しつつあり、パリ五輪でも松木との共演への期待は膨らんでいた。
――松木が今回、移籍の関係もあってメンバーに選ばれなかった。そのことについて何かやり取りはあったか?
人垣のなか、荒木は記者からそう問われると「まだ何も話してないっす」と困ったように返した。
――松木がパリ五輪に参加できなくなったことで思うところはあるか?
間髪入れずに記者が続ける。
「そうですね……。なんだろう……(いま、自分は松木が外れた)理由とかも正直わかんないですけど……。でも、玖生のぶんもっていうのも多分おかしいと思うんですけど、本当に玖生だけじゃなく選ばれなかった人もたくさんいると思うので、そういう人たちのぶんも自分たち選ばれた人たちが、世界で戦えることは嬉しいことなんで、責任を持って戦いたいなという風に思ってます」(荒木)
FC東京の選手たちはその日、午前中の練習のあと、午後はクラブのイベントで選手がそれぞれ地元の小学校を訪問していた。荒木と松木は別の学校を訪問しており、荒木はそこから会見場へ直行していたため、松木とはコンタクトを取っておらず話せることは少なかったのだろう。それでも、どこか腑に落ちないような表情が垣間見えたことは、気のせいだっただろうか。
翌日、黒田剛監督も“教え子”に気遣い
会見の翌日には、松木の中高(青森山田)時代の恩師で、町田ゼルビアの黒田剛監督もクラブ施設で取材に応じた。
「J2だった去年までは、よく連絡を取りあっていたけど、J1に上がり対戦相手になってからはちょっと(頻繁に連絡するのは)控えた方がいいと思って」と最近は連絡を取っていないとし、こう続けた。