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「松木の落選をどう思った?」記者30人がFC東京・荒木遼太郎に殺到した…松木玖生“まさかの落選”のウラ側、町田・黒田剛監督も“教え子”に気遣い
posted2024/07/06 17:00
text by
栗原正夫Masao Kurihara
photograph by
Kiichi Matsumoto
7月3日にパリ五輪に臨む男子サッカーのメンバー18人が発表された。
オーバーエイジ(24歳以上)の選出が見送られたほか、選出が有力視されていたGK鈴木彩艶が選外となるなど、いくつかの事象が話題となったが、最大の驚きは松木玖生の“落選”だった。
21歳ながら松木は大岩ジャパンの中心的存在だった。パリ五輪の出場権獲得を決めたことし4月から5月にかけてのU-23アジア杯では全試合に出場。フィジカルを活かした中盤でのボール奪取能力や高いボールキープ力はチーム随一といえ、初戦の中国戦で先制ゴールを奪ったように何より勝負強さが光った。
中盤ならどこでもプレーできるポリバレント性を考えても、松木の選出を疑う声は皆無だった。それだけに、メンバー発表の会見で大岩剛監督の口から「松木玖生」の名前が出なかったのは大きなサプライズといえた。
選出されたMFはメンバー発表の会見で大岩監督が名前を上げた順に、藤田譲瑠チマ、山本理仁、川﨑颯太、三戸舜介、荒木遼太郎の5人だった。
「松木に移籍の可能性がある」発言
会見では、序盤に松木が選外になったことについて訊ねる質問が当然のように出た。しかし、大岩監督は少し強張った表情で「(ここでは)選ばれた選手たちの話をさせていただきたい」とし、回答をはぐらかし明言を避けた。
もし、そのまま会見が終了していたら、松木の落選について様々な憶測が出ていただろう。しかし、会見の終盤、松木の出身地でもある北海道の地元紙記者から改めて「松木にケガなどがあったのか?」と状況を訊ねる質問が飛んだ。
大岩監督はここでも「選ばれていない選手への発言は避けたい」と繰り返すも、「彼のコンディションに問題があるわけでないことだけは伝えさせていただきます」と渋々回答。すると直後、会見場の沈んだ空気を察したのか、わずかな間があったあと壇上の大岩監督の横に着席していた山本昌邦ナショナルチームダイレクター(ND)が「いいですか?」とマイクを取り、補足として「松木に移籍の可能性がある」ことに言及。五輪期間中(もしくは五輪前)に移籍が決まった際に、帯同が確約されていないことが招集を見送ったいちばんの理由だと付け加えた。
荒木遼太郎に記者30人が殺到した
山本NDによれば、パリ五輪に向けて選出した18人からは、ケガやコンディションが理由であれば大会初戦の24時間前まではバックアップを含むメンバーからの入れ替えが可能だという。ただ、それ以外の理由、つまり移籍を理由にした変更は不可とのことで、万が一選出メンバーから移籍者が出たうえでクラブが五輪への参加を認めず18人のフルメンバーで臨めない状況は避けたかったとした。
松木にはかねてより海外移籍の噂があった。本人もそれを希望していただけに、それが間近となっているのなら致し方ないのかもしれないが、一方で興味深いのは発表を受けた側の反応だ。