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「松木玖生、まさかのパリ五輪落選」ざわついた会見場…そのとき現場で何があった? 山本昌邦「移籍の可能性がある」“フライング発言”のウラ側
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byJIJI PRESS
posted2024/07/04 17:01
7月3日、パリ五輪のメンバー発表会見に臨んだU-23日本代表の大岩剛監督。言葉の端々に選考の難しさと選手たちへの配慮をにじませた
「松木玖生、まさかの落選」なぜ“移籍の可能性”に言及?
松木玖生も外れている。
中盤の複数ポジションを高いレベルでこなすこの21歳は、五輪最終予選を兼ねたU23アジアカップでも存在感を放った。中国との開幕戦で決勝点をあげたように、勝負強さも秘めている。16人のフィールドプレーヤーで最大6試合を戦うことを考えても、ポリバレントで心身ともにタフな松木はチームに必要な存在と言っていい。
ならばなぜ、彼が選外となったのか。メンバー選考のポイントについて聞かれた大岩監督は、落ち着いた口調で答える。
「みなさんご存じのとおり、色々な制限があるなかで、我々がいま現在招集できる最高の18人プラス、4人のバックアップメンバーを選んだつもりでいます。いま現在で招集できるベストのメンバーを招集したつもりでいます」
指揮官が語った「いま現在招集できる」という表現に松木を照らせば、彼は「招集できなかった」とも受け止められる。松木の招集外について具体的に聞かれると、「今回は選ばれた選手たちの話を、ぜひさせていただきたいと思います」と答えた。
松木については再度、「ケガが理由なのか」との質問が出た。大岩監督は「選ばれていない選手のコメントは避けたい」と繰り返しつつ、「コンディションに問題があるという理由ではありません。それだけは伝えさせていただきます」と言い添えた。
ここで、山本NDが補足する。「移籍の可能性があります」と明言したのだ。「五輪期間中に我々が招集できる確約が取れませんでした」とし、オーバーエイジ候補と同様の理由であることを明かしたのだった。
松木の海外移籍については、かねてから報道があった。彼自身も移籍の意欲を口にする場面はあったが、所属するFC東京から具体的なアナウンスはない。山本NDの発言は、フライングとも受け取れる。一方で、U-23世代かオーバーエイジかを問わず、海外組とその“予備軍”の招集がかくも難しくなっている現実を伝える意図があったのだろう。