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支配下指名「77人中76番目」からの下剋上…日ハム“次世代エース候補”北山亘基(25歳)はなぜ「ドラフト8位」だった?《交流戦で今季4勝目》
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by(L)JIJI PRESS/(R)AFLO
posted2024/06/05 11:04
今季ここまでプロ初完封を含む4勝を挙げている北山亘基。支配下指名選手77人中76番目の「ブービー指名」からの下剋上を期す
それが証拠に、私が毎年ドラフト前に行っている『ひとりドラフト』企画では、京都産業大・北山亘基投手は「ロッテ2位」という上位で指名されている。
「正直、ヒヤヒヤしてました。もう、ないかもしれないって思ったり、指名がなかったら、どんな言葉をかけたらいいか。そんなことばっかり考えて…。指名された時は、いやもう、ほんとにねぇ……ホッとしました」
京産大の勝村法彦監督(当時)はそんな風に運命のドラフト会議を振り返る。
「ほんとにねぇ」の後の時間が、けっこう長かった。
3位指名か、4位には名前が挙がるんじゃないか。そんな評判も、ソヨソヨと聞こえてきて、勝村監督も北山投手にはそれだけの確信を持っていた。だからこそ、指名を待望する勝村監督の胸中も穏やかではなかった。支配下ドラフトで指名された77選手のうち、北山は実に76番目の選手だった。
大学の先輩・平野佳寿と「タイプは違うが夢が持てる」
「平野とは全く違うタイプですけど、それだけに夢が持てるんです、北山には」
2006年卒業の京都産業大OB・平野佳寿投手も、勝村監督の教え子になる。オリックスで先発として4シーズン、その後の8シーズンは抑えの切り札として156セーブを挙げた。メジャーではダイヤモンドバックス、マリナーズでプレーし、中継ぎとして48ホールドをマークすると、2021年オリックスに復帰。昨年までの3年間で86セーブを挙げているチームの絶対的守護神である。
「平野はキャッチャーのミットを動かさなかった。ストライクを投げられるコントロールの良さだけじゃないんです。狙ったコースと高さに、キャッチャーのミットを動かさずに投げられるコントロールが素晴らしかった」
余談になるが平野佳寿投手、大学4年生の秋、私は京都産業大グラウンドのブルペンでその全力投球を受けさせていただいたことがある。
「低めに構えてください!」という平野投手のリクエストに、しゃがんだヒザの高さで構えたミットに、そこよりさらに低いところから快速球がホップしてきて驚いた。