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「巨人ドラ1」がハローワークで職探し→履歴書の「巨人軍」に社内騒然…「辻内です!買ってください」飛び込み営業も、辻内崇伸の「第二の人生」
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph byHaruka Sato
posted2024/05/13 11:02
ALSOK秋田で仕事に奮闘中の辻内さん
「あの時…」後悔は胸の中だけに
「僕らの時代は怪我を抱えていても連投を重ねたりということがありましたけど、今は球数制限や休息日があったりして、すごくいいことだなと思います。それでも野球に怪我はつきものなので、故障してしまう子はいる。今の時代は、沢山の情報を得ることができますし、その中で自分の信念は貫きながらも色々なものを試して良くなる方法を探してほしいなと思います。講演会には病院に通っている子も来ていて、そういう子には病院も一つじゃないし、リハビリの方法も沢山あるんだよ、という話はしました」
野球人生の中で、あの時投げるのを止めておけば、というターニングポイントは何回もあるだろう。左肘だけでなく、痛みを隠していた肩の手術を選択していれば……という思いも。しかし辻内さんは泣き言を口にしない。ただ一言、「しょうがないですね」とポツリと話し、思いは胸に押し留めた。
社内で作った草野球チーム
昨年から社内で「野球部」を立ち上げた。軟式の草野球チームだ。飲み会の席で、辻内さんが冗談半分で社長に「野球部を作ってもらえませんか?」と口にしたところ、すぐにOKが出たのだという。社内でメンバーを募り、ユニフォームを作った。現在部員は約20人。高校野球経験者も、全くの未経験者もいる。辻内さんは、そのチームの監督を務める。
「プレーヤーとしてはもう出来ないんです。肩も肘もボロボロだから。送球でちょっと投げるのですら、もうできない。たまにバッティングをしたり、ノックをしたり。ベンチで笑いながらみんなで楽しくやっている感じです。野球を楽しくやろう、って。それが一番ですね」
晴れやかな笑みを見せた。
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