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水原一平通訳の解雇パニック…現地記者が見た「張りつめた空気のロッカー」「猛追及する米メディア」ドジャース大谷翔平から“消えた笑顔” 

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佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

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posted2024/03/22 17:03

水原一平通訳の解雇パニック…現地記者が見た「張りつめた空気のロッカー」「猛追及する米メディア」ドジャース大谷翔平から“消えた笑顔”<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

激震が走った水原一平通訳のドジャース解雇。現地記者が目撃した“激動の1日”とは

思い出すWBC「翔平の状態はいつも、一平に…」

 メジャー7年目の大谷にとって、実際には試合中のやりとりに関して“言葉の壁”はほぼないのだろう。監督やメディアとの間で正確に思いを伝えるという役目は重要だったにせよ、水原通訳の存在は、単に言語を翻訳するという業務を超えたところにあったはずだ。時に敏腕マネージャーであり、時にデータ分析官。何より、人並外れた存在である大谷の感情の機微を察知し、時に集中力を高める「オン」の手伝いを、時には緊張を緩和する「オフ」の役割を担っていた。

 昨春のWBCで栗山英樹監督を支えた城石憲之コーチは大会後、「翔平は“疲れている”とか“交代したい”ということを自分からは絶対に言わない。だから翔平の本当の状態はいつも、一平にたずねていた」と明かしていた。スーパースターが本音を明かせる数少ない戦友でもあった水原通訳。その存在を挟んでベンチでチームメートとふざけ合うような光景はもう見られない。得点機が多かったドジャースのベンチでも、この日の大谷は笑顔が少なかったように見えた。

 ソウルでの開幕シリーズは1勝1敗。スポーツ史上最高額となる10年7億ドル(約1015億円)で移籍したドジャースでの第一歩となった2試合は波乱のうちに幕を閉じた。“爆破予告”から始まり、ダルビッシュ有との初対戦、松井裕樹や山本のデビュー、そして最後にチームを揺るがせた衝撃的な事件……。唯一無二の信頼関係で結ばれていた“相棒”の突然の喪失という深い傷を残したまま、大谷の新しい1年が始まった。

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