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水原一平通訳の解雇パニック…現地記者が見た「張りつめた空気のロッカー」「猛追及する米メディア」ドジャース大谷翔平から“消えた笑顔”
posted2024/03/22 17:03
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
Nanae Suzuki
前夜と変わらぬドジャースのロッカールームの風景。しかし、そこに“彼”だけがいなかった。
試合後ロッカー「張り詰めた空気、いない水原通訳」
3時間42分のロングゲームの末に、11−15でパドレスに敗れた開幕第2戦。韓国・ソウルでの戦いを終え安堵感が満ちたロッカーで、大谷翔平は静かに着替えていた。35人ほどの報道陣が遠巻きに囲み、固唾を飲んでその様子を見守る。張り詰めた空気を気にするそぶりも見せず、シャワーを浴びた大谷は顔と体にクリームを塗り、グレーのスウェットを身につけていった。
ロッカーの前の大きなスポーツバッグの中には丁寧に整頓された大谷の荷物。いつもならそのそばに水原一平通訳が付き添っていたはずだ。この日は2人の広報担当者が報道陣の前に立ち、厳しい表情で「今日はショウヘイの対応はなしだ」と説明。キャップを被り、リュックを背負った大谷は、「お疲れさまです」、「お疲れっした」と記者たちに声をかけてわずかに微笑みを浮かべ、ひとり立ち去っていった。
早朝の報道から試合終了まで…現地ウラ側
両チーム合わせて33安打が飛び交った壮絶な打撃戦以上に、あまりにも衝撃的な一日だった。ソウルの夜明けとともに、アメリカ発のニュースが飛び込んできた。ロサンゼルス・タイムズとスポーツ専門局ESPNの第一報をきっかけに、複数のメディアが、大谷の通訳である水原一平氏が違法賭博に関与し、「巨額の窃盗をした疑い」でドジャースを解雇されたと報じたのだ。
最も詳細に伝えた米メディア「ESPN」によると、水原氏はカリフォルニア州のブックメーカーにスポーツ賭博で借金を作り、その穴埋めのために大谷の銀行口座から「少なくとも450万ドル(約6億8000万円)」を送金したという。報道を受けてドジャースも水原氏の解雇を認める声明を発表。この時点で水原氏はチームを離れており、前日の試合後にはデーブ・ロバーツ監督や大谷を含めた選手たちの前で謝罪し、チームを去っていたというショッキングな詳細まで伝わってきた。