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水原一平通訳の解雇パニック…現地記者が見た「張りつめた空気のロッカー」「猛追及する米メディア」ドジャース大谷翔平から“消えた笑顔”
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph byNanae Suzuki
posted2024/03/22 17:03
激震が走った水原一平通訳のドジャース解雇。現地記者が目撃した“激動の1日”とは
距離感探る通訳…「“不在”を感じた瞬間」
「この韓国シリーズは呪われているんじゃないか」
報道陣から思わず、ため息が漏れる。大谷はグラウンドでの試合前練習には姿を現さなかったが、ベンチ裏ではトレーナーから入念に治療を受ける姿が見られた。もちろん、その近くに水原氏の姿はない。日本ハム時代からの縁で、2018年のメジャー挑戦からその傍らに常に寄り添っていた“相棒”。阿吽の呼吸で二刀流を支えてきた存在が突然姿を消したという現実は、試合が始まるとさらに色濃く映った。
1回の第一打席。一死無走者で打席に立った大谷に、一際大きな声援が飛ぶ。スタンドのコンコースにはファンが鈴なりとなってスマートフォンのカメラを向ける熱狂の中で、大谷はパドレス先発のジョー・マスグローブの初球をいきなりライト前へ。集中力を研ぎ澄まして、騒然とした空気を吹き飛ばした。3番のフレディ・フリーマンが四球を選び一、二塁とし、ウィル・スミスのタイムリー二塁打で生還。泰然とした主役の一打が、山本の乱調で初回に5点を失っていたチームに冷静さを取り戻した。
しかし、ベンチに戻ると出迎えのハイタッチの列に水原氏の笑顔はない。球種や相手投手の特徴について話しかけるチームメートに対しては、通訳を挟まずにやりとりをしている。2回には大谷の犠飛で2点目を追加し、2−9となり迎えた3回は連打を足がかりに反撃を開始。3点目、4点目と加え打席が近づいてくる大谷は、選手やコーチともほぼ直接会話をしながら準備を進めており、アイアトン通訳は話しかけて良いものかどうか距離感を探っているように見えた。