特に橋岡が代表で主戦場とする右SBは、毎熊晟矢の成長、菅原由勢の不振と、アジア杯でなにかと注目を集めたポジションだった。日の丸をつけて戦えなかったことに、橋岡は素直に「悔しかった」と漏らす。

「代表復帰はもちろん視界に入れてますけど、まずここで試合に出ないことには何も言えない。試合に出て、ここで活躍して、その後についてくるものだと思ってるので。まずはここで死ぬ気でやりたい。そこで代表に呼ばれたら、いつも通りのプレーをすればいいかなと思ってます。

（記者：アジア杯はテレビでご覧になったか）見てました。めちゃくちゃ悔しかったです。代表に入れるチャンスがあり、自分もあそこにいたかもしれない。自分が選ばれなかったのは、やっぱりものすごく悔しいです。

　でも自分のサッカー人生で一番悔しいこと、とは捉えていません。まだこの先にW杯があるので。僕は2年後のW杯に向けてやっている。アジア杯ではメンバーに入れなかったですけど、 まだW杯まで2年あります。そこで見せればいいかなって。今はルートンでのプレーに集中したい。そして、後になって『あぁ、あの時に呼んどきゃよかったな』って思わせるぐらい頑張ればいい」

「ハシッ！」愛すべきキャラクター

　橋岡を取材し、筆者の頭に思い浮かんだのは「猪突猛進」の言葉だった。

　本人が夢だったと語る世界最高峰の舞台プレミアリーグに辿り着き、「自分が一番と思わせるぐらいの気持ちでやりたい」と熱く語る。そして、対人守備が勝負所になるルートンのマンツーマン・ディフェンスにも、「相手にやらせなきゃいい」と成長のチャンスと捉える。自身の前に立ちはだかる壁を壁と見ず、むしろステップアップのためのチャンスと考える。それが橋岡だ。

　また愛すべきキャラクターで、チームにもすでに溶け込んでいるようだった。取材中、ルートンの選手は通り過ぎるたびに、「ハシッ！」と笑顔で声をかけていた。

　もちろん勝負はここからだ。プレミアリーグのスタート地点から一歩を踏み出したに過ぎない。だが24歳のDFが思い描く理想像に近づけば近づくほど、ルートン、そして日本代表にとっても大きな力になるはずだ。