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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
英国紙が絶賛「チェルシーに足りなかったのはエンドウ」リバプール遠藤航31歳に“危険タックル”も…松葉杖姿で語った本音「痛かったですけど…」
posted2024/03/01 17:05
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph by
Getty Images
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きっと、全ての力を使い果たしたのだろう──。試合終了のホイッスルが鳴ると、リバプールの遠藤航は両腕を天に突き上げ、そのままピッチに倒れ込んだ。
大の字になって、仰向けで空を見つめる遠藤。その日本代表のもとに真っ先に駆け寄ってきたのが19歳MFのジェームズ・マコーネルだった。彼の声かけに、遠藤はそっと上半身を起こした。すると、チームメートやコーチが次々と遠藤に声をかけていく。立ち上がった日本代表は両手を膝につけると、小刻みに体を震わせた。120分間の死闘を戦い抜いた31歳MFは、涙を流しているようだった。
2月25日にサッカーの聖地ウェンブリー・スタジアムで行われた、チェルシーとのリーグカップ決勝。タイトルが懸かった大一番で、遠藤は先発メンバーとしてピッチを駆け回った。試合は延長戦の末に、リバプールが1−0で勝利。ユルゲン・クロップ監督率いるリバプールが今季ひとつ目の栄冠を勝ち取った。
“松葉杖”で取材エリアに…
日本代表MFは、4−3−3のアンカーとして中盤をオーガナイズした。
ボールを拾って最前線のFWルイス・ディアスに縦パスを入れたり、絶体絶命のピンチに右足を伸ばして相手のシュートをブロックしたりと、攻守両方で奮闘した。ボールを受けたら素早くターンして前を向き、そのままドリブルして前方に進んだかと思えば、中盤を動き回って敵の攻撃を潰すなど、サッカーの聖地で絶大な存在感を示したのである。
しかも味方が続々と交代する中、遠藤は延長戦を含めた120分間の死闘を戦い抜いた。フィールドプレーヤーで最後までピッチに立ち続けたのは、遠藤とルイス・ディアス、フィルジル・ファンダイク、ハービー・エリオットの4人のみ。
もともと今回の一戦は、モハメド・サラーやトレント・アレクサンダー=アーノルド、ドミニク・ソボスライなど、主力に欠場者が相次いだ。控えには、実戦経験の乏しい10代の若手が名を連ねていたが、先発メンバーに故障や疲れの影響があったことから、若手を途中出場で送り込む必要もあった。そんな非常事態に、日本代表MFは経験値の高いベテランとして責務を果たしたのである。
試合後の取材エリアで「感激しているようでしたね」と問われた遠藤はこう話した。