欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
「ハシッ!」橋岡大樹24歳、取材中にチームメイトが…ルートンですでに愛される“プレミア第4の日本人”が語った「遠藤(航)さんがどれだけスゴいか」
posted2024/03/09 17:03
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph by
Getty Images
「めちゃくちゃ楽しいですね。やりがいもあります。これから、もがきながらサポーターの期待に応えられるよう頑張りたいです」
目を輝かせながらそう語るのはルートン・タウンの橋岡大樹である。
橋岡は冬の移籍期間でベルギー1部シント・トロイデンからルートンに加わり、2月27日に行われたFA杯マンチェスター・シティー戦で途中出場。公式戦デビューを果たすと、中3日で迎えたプレミアリーグ・アストンビラ戦で後半8分からピッチに入り、国内リーグ戦にあたるプレミアリーグでもデビューした。世界最高峰のイングランドの地で、橋岡は第一歩を踏み出した。
橋岡が加入したルートンはロンドンから北へ約50キロの場所に位置し、ロンドン中心部からは快速電車で約30分の距離にある。人口は約22万5000人。市内には欧州都市を結ぶルートン空港があり、英国民にはロンドンの玄関口の一つとして馴染みが深い。
この街を本拠地としているのがルートン・タウンだ。昨シーズンのチャンピオンシップ(英2部)でプレーオフを勝ち抜き、プレミアリーグに昇格した。1部リーグ昇格は31年ぶりの快挙で、サポーターも街を上げて盛り上がっている。なおクラブの愛称はハッターズ(The Hatters)。ルートンの街は17世紀から第二次世界大戦後まで帽子産業で栄えたことから、その名がついたという。実際クラブエンブレムにも、可愛らしい帽子のイラストが施されている。
そんなルートンは、昨夏の時点で橋岡に接触していた。シント・トロイデンでレギュラーとして活躍していた橋岡に注目したのである。しかし昨夏の移籍期間では具体的なオファーに至らず、最終的に24歳DFはシント・トロイデンに残留した。そして約半年後の今冬に正式なオファーを受け取り、晴れてルートンの一員となった。
その瞬間、ホームサポーターが沸いた
橋岡のデビューは、難しい状況下で訪れた。相手は、プレミアで首位争いを演じているマンチェスター・C。「FA杯でジャイアントキリングを」と意気込むルートンの本拠地ケニルワース・ロードには満員の1万1500人の観衆が押し寄せたが、開始からわずか3分で主砲アーリング・ハーランドに先制点を奪われてしまう。その後も劣勢が続き、ノルウェー代表FWに前半40分の時点でハットトリックを達成されてしまった。
後半に入っても劣勢は変わらず、ルートンは厳しい戦いが続く。2−5で迎えた後半17分にベンチから交代の声がかかり、橋岡は浦和レッズ時代と同じ「27番」のナンバーがついたユニホームに着替えた。ホームサポーターの大きな声援を受けながら、サムライ戦士は3−4−2−1の右ウィングバックとしてピッチに入ったのである。この時、橋岡はあることを心に決めていたという。