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プロ野球《二軍キャンプ》で見つけた“無名の逸材候補”たち…鷹「勝負の4年目スラッガー」、燕「先輩打者を圧倒のルーキー」、鯉「二軍の4番打者」 

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安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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posted2024/02/27 06:01

プロ野球《二軍キャンプ》で見つけた“無名の逸材候補”たち…鷹「勝負の4年目スラッガー」、燕「先輩打者を圧倒のルーキー」、鯉「二軍の4番打者」<Number Web> photograph by KYODO

プロ2年目を迎えた広島の内田湘大。1年目は本塁打0、打率も1割台と苦戦も“未来の大砲”にかかる期待は大きい

「高校生のキャッチャーでドラフト3位でしょ。本人、それなりに自信も持って入ってきて、そのうち上がれるだろうと思ってたと思いますよ。でも、現実とのカルチャーショックに、結局3年間苦しんで、やっと腹くくれたんじゃないですか。怒りねぇ……自分に腹立ててるんでしょうね、たぶん。いずれにしても、ようやくキバを剥いてきたかなって感じかな。でもね、やればやるだけ報われるってわけじゃないんですよ、プロは、運もないとね。特にウチの場合は」

 関係者の見る目は、それでも、きびしい。

 支配下62人、育成57人……選手の数が他球団の2倍なら、競争の激しさも2倍か、それ以上だろう。

 牧原巧汰、さらに、途方もないサバイバルに立ち向かう。

ヤクルト・ドラ3左腕は先輩打者を圧倒…?

 多くのファンが訪れて、テーマパークのようなきらびやかさの一軍キャンプも華やかで良いが、それなりに警備の数も約束事も多く、謹んで見せていただきます……みたいな緊張感があるものだが、一方で、人知れずひっそりと行われているファームのキャンプのほうは、「ようこそいらっしゃいました、どうぞどうぞご覧ください」と迎えられているようなアットホームな雰囲気が漂っていて、ホッとする。

 ヤクルトの西都キャンプは、31人の若手選手たちが真剣な練習に汗を流しながら、見事なパフォーマンスには惜しみなく祝福の拍手が送られるハートウォーミングな場面が何度もあった。

 良いことだと思う。アマチュア野球の現場が時として殺伐とするのは、この「おっ、お前、できたじゃないか!」という祝福がないからだ。

 投手対打者、1対1の対決型バッティング練習が始まる。

 マウンド上はルーキー左腕・石原勇輝(180cm87kg・左投左打・明治大)、右打席には3年目の成長株・小森航大郎内野手(173cm83kg・右投右打・宇部工業高)。投げる球種をあらかじめ投手が打者に知らせてから投げるので、圧倒的に打者有利の設定である。

 にもかかわらず、石原投手のカーブに、スライダーに、小森選手が全くミートポイントを作れない。わかっていても、繰り返し空振りしてしまうカーブにスライダー。

【次ページ】 カープ二軍の「4番打者」には成長の兆し

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