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マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
プロ野球《二軍キャンプ》で見つけた“無名の逸材候補”たち…鷹「勝負の4年目スラッガー」、燕「先輩打者を圧倒のルーキー」、鯉「二軍の4番打者」
posted2024/02/27 06:01
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
KYODO
ソフトバンク・宮崎キャンプ、生目の杜運動公園。
一軍クラスが練習を続けるメイン球場のすぐ隣に、若手選手たちが汗を流す「生目第二球場」。
ソフトバンクの「二軍」は、立ち位置が微妙だ。下に三軍どころか四軍まであるから、大相撲でいえば「十両」ぐらいの感覚だろうか。選手たちの練習ぶりをじっと見ていると、「上に上がりたい!」という欲望と、「三軍以下に落ちたくない」という危機感が、一瞬、一瞬に交錯しているように思えて仕方ない。
ジャストミート直後の希望に輝く表情と、打ち損じたあとの絶望感。そんな若手の打撃練習で、ライト方向へ立て続けに飛んでいく弾丸ライナーが、目に飛び込んできた。
ソフトバンク「4年目のスラッガー」が大迫力
背番号22・牧原巧汰捕手(176cm84kg・右投左打)。日大藤沢高からドラフト3位で入団して、今年で4年目になる。
親のかたきとばかりに、強烈にボールをひっぱたく渾身のスイングが続く。インパクトに「怒り」のようなものを感じる。
これでもか! これでどうだ! この打球なら一軍でどうなんだ!
多少強引でも、3年間鍛え上げてきたフルスイングをアピールしたくてしょうがないように、打球はライト100mの外野ネット真ん中あたりの高さに次々に突き刺さるから、飛距離は当然120mを超える。
ただのフルスイングじゃない。ボールのコースによってとっさのリストワークで巧みなバットコントロールがなされ、難しいコースにもバットの「芯」を入れてくる。以前はそこまでだったが、今年は違う。芯で捉えたインパクトに「こんちくしょう!」があるから、打球の飛びの迫力が違う。
高校から入団して4年目、進学していればドラフトイヤーの4年生だ。少し前、見てきたばかりの大学生ドラフト候補たちの打球と、いつの間にか比べていた。10本以上も、立て続けに120m級の打球を飛ばせる瞬発力とジャストミート能力と体の強さを兼備した選手など、1人もいなかった。