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マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
プロ野球《二軍キャンプ》で見つけた“無名の逸材候補”たち…鷹「勝負の4年目スラッガー」、燕「先輩打者を圧倒のルーキー」、鯉「二軍の4番打者」
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byKYODO
posted2024/02/27 06:01
プロ2年目を迎えた広島の内田湘大。1年目は本塁打0、打率も1割台と苦戦も“未来の大砲”にかかる期待は大きい
そして、左腕にしか投げられない球筋のクロスファイアーだ。膝元を突いたクロスファイアーに、小森選手が思わず後ろに小さく飛びのく。そのボールに、「ストライック!」のコールが上がる。それも、二度や三度ではない。
およそ30球の対決で、ヒット性の打球は、左中間方向へわずか2本。
ホームベース真後ろのネット越しに2人の対決を見つめていた池山隆寛二軍監督はじめ指導陣たちの祝福の拍手をいただいて、ルーキー左腕・石原勇輝、まずは順調にプロ野球生活のスタートをきった。
カープ二軍の「4番打者」には成長の兆し
3日前に一軍メンバーが2次キャンプの沖縄に移動して、日南・天福球場には、故障明けで「ゆっくり調整」の秋山翔吾外野手や曾澤翼捕手のほか、若手選手たちがキャンプを張っていた。
社会人野球の強豪・日本新薬とのオープン戦。
ヤング・カープの4番打者をつとめた内田湘大三塁手(183cm97kg・右投右打)が、オッというプレーでこちらの目の中に飛び込んできてくれた。
群馬・利根商業高からドラフト2位の高い評価で入団して2年目。ルーキーイヤーの昨年からウエスタン・リーグのレギュラーとして再三起用されたのに打率0.163。高校時代36本塁打を放った持ち前の長打力を発揮するまでに至らず、ウエスタン初アーチも今季2年目に持ち越しとなっている。
ある意味、期待を裏切ったともいえる1年目なのに、2年目スタートのこの試合でも4番に抜擢されるのは、やはりその「資質」ゆえなのか。
思い切りのいいスイングばかりだったが、差し込まれ気味のファールの後に、左腕投手のフォークで空振り三振を喫した最初の打席。
「ただ来た球を追いかけて振っているだけ。2年目だったら、少しは読んで打つとか、頭も使ってくれないと……」
一緒に見ていた関係者がそう嘆いて席を立った直後、サードを守る内田湘大の左に痛烈な打球が低く飛ぶ。一瞬、鋭く反応してバックハンドのグラブに収めると、体勢を立て直して二塁ベースへのストライクスロー。5-4-3のダブルプレーに持ち込んだ。