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チームメイトは「昔一緒に戦った選手の息子」という衝撃…スキージャンプ界のレジェンド・葛西紀明“51歳で海外W杯メンバー入り”の驚異 

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折山淑美

折山淑美Toshimi Oriyama

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photograph byJIJI PRESS

posted2024/02/27 11:01

チームメイトは「昔一緒に戦った選手の息子」という衝撃…スキージャンプ界のレジェンド・葛西紀明“51歳で海外W杯メンバー入り”の驚異<Number Web> photograph by JIJI PRESS

4季ぶりのW杯本選出場を決め、海外遠征のメンバーにも選ばれた51歳の葛西紀明。レジェンドの活躍は続く

「久しぶりの地元開催のW杯で、以前より硬さはあった。でも、51歳のジャンプではないなというか……コーチボックスでも各国のコーチがビックリしていて、改めてすごさは感じました。

 世界で戦うとなるとまだ修正点はたくさんありますが、そこを修正できてくれば確実にまだ世界で戦える。特に空中姿勢はすごくうまいので、大きなジャンプ台へ行けば行くほど飛んでいくのかなと思います」

 だが「昨日よりは楽しく飛べた」という本番1本目は、弱い向かい風の条件ながらも「力が入ってしまって、踏切タイミングも少し遅れた」というジャンプで117mと飛距離を伸ばせなかった。葛西本人はこう苦笑する。

「今朝、シミュレーションをやった時にすごくいい感じだったので、『これは行けるな』という手応えはあったんです。ただ昨日、予選で助走スピードが出てなかったので、ポジションを確認するため試技も回避しないで飛んだんですが、いつものように試技なしにしておけばよかったかなと後悔はしていて。1本目に集中していいジャンプができていることが多いので、若干の作戦ミスだったかもしれないですね」

W杯ポイントも獲得し…海外遠征のメンバーにも復帰

 それでもジャンプ後に「ここから風も弱くなって厳しい条件になる」と本人が話していたように、後続の選手たちも飛距離を伸ばせず。結局葛西は28位に食い込み、上位30名が進める2本目への進出を決めた。だが、追い風の条件になった2本目は104mの飛距離に止まり、順位も30位に下がった。

「飛ぶ寸前までは1本目より緊張しなかったけど、多分、欲があって力んだのだと思います。『せっかく2本目まで残ったのに、30位ではちょっとまずいでしょう』と思って。いいジャンプをすれば『25位ぐらいまでいけるんじゃないかな』というのは思っていましたし」

 こう振り返る葛西だが、30位でW杯ポイントを1点ゲット。19年3月に19位に入って以来のポイント獲得となった。

 翌日の第2戦も予選を49位で通過して本戦へ出場。W杯本選通算出場回数を571に伸ばしたが、1本目は弱い向かい風の中で107.5mに留まり、43位という結果に終わった。

【次ページ】 「一緒に戦った選手の息子もいっぱいいます」

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