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「巨人ドラ1→引退してスカウトに→社会人野球で現役復帰」元プロ野球“消えた天才”からの復活を目指して…ミキハウス・桜井俊貴の挑戦
text by
沢井史Fumi Sawai
photograph byFumi Sawai
posted2024/01/24 06:00
2015年に巨人からドラ1指名された桜井。プロ生活は6年で終止符を打ったが、1年間のスカウト生活を経て社会人野球で現役復帰
最初に水野雄仁スカウト部長に現役復帰について明かすと「良い話じゃないか」と背中を押された。納会では原辰徳前監督と話す機会があり、スカウトに転身したばかりの1年について尋ねられ、最後に励ましの声をもらった直後に、「実は……」と現役復帰の話を打ち明けると、最初は驚かれたが「自分の道として決めたのなら頑張りなさい」と激励を受けたという。
初めて袖を通した“赤の戦闘服”の感触を確かめつつ、ミキハウスについて「試合を見ていて、熱さと勢いを感じました。都市対抗に3年連続出られているので、継続して出られるように力になれればと思います」と気を引き締めた。
「40歳まで現役を続けられたら」
現在は京都府内の自宅から約1時間半かけて三重県伊賀市まで通勤している。今後は午前中に物流管理部の社員として社業にも励むことになる。
「スカウトの時も試合によっては朝が早かったので、早いことは気になりません。これからは食事に気を遣っていかないといけないですね」としながらも、今後について問われると目を輝かせてこう続けた。
「プロに入団した時は50歳まで現役を続けたいといいましたが、それはさすがに厳しいと思うので、40歳くらいまで続けられたらいいなと思います。あとは経験値を伸ばすことですね。
ジャイアンツでも良い経験をさせてもらいましたが、社会人野球でさらに積み上げていけたら。まだ進化できると思っています。スカウトをしている中で良いピッチャーを見てきて、良いピッチャーはキャッチボールから違うなというのが分かったので、キャッチボールから大事にしていきたいです」
30歳になった社会人野球ルーキーは新たな野望も抱く。
「東京ドームで投げたいのはありますね」
20代で挑戦したNPBでは満足な結果が残せなかった。だからこそ、30代で始める2度目の現役生活への思いは強い。
「ピッチャー・桜井」の野球人生の真骨頂はこれからだ。