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「巨人ドラ1→引退してスカウトに→社会人野球で現役復帰」元プロ野球“消えた天才”からの復活を目指して…ミキハウス・桜井俊貴の挑戦
posted2024/01/24 06:00
text by
沢井史Fumi Sawai
photograph by
Fumi Sawai
赤をモチーフにしたユニホームは、野球人生で初めてなのだという。
「こういう色は着て来なかったので……。正直、違和感はありますね」
茶目っ気たっぷりに桜井はそう言って会見場を沸かせた。
読売ジャイアンツのスカウトとして関西地区を担当していた桜井俊貴氏が、社会人野球・ミキハウス硬式野球部に2024年から加わり、現役復帰すること正式発表されたのは23年の12月下旬だった。
巨人ドラ1→7年間で引退、スカウトの道へ
立命大出身の桜井は15年に巨人からドラフト1位指名を受け、翌年入団。
4年目にプロ初勝利を含む8勝を挙げるも、7年目の22年オフに戦力外通告を受けた。プロ7年間で通算成績は13勝12敗。現役引退翌年の23年からはスカウトとして関西地区のアマチュア野球の球場に足を運び、多くの逸材を近くから見つめてきた。
チーム初合流となった1月10日。
三重県伊賀市のグラウンドで、静かにマウンドに足を踏み入れると桜井の表情がほぐれた。そして軽くキャッチボールをするごとに、ミットを叩く音も力強くなった。その表情には、マウンドに立てた嬉しさがにじみ出ていた。
とはいえ、1年間のブランクを経ての現役復帰。決心をするには多大なエネルギーを要したはずだ。
「1年間のブランクというより、これまでの疲労が回復しているので、むしろ良い感じなのかなと思います。なまっているという感じはしないんです。昨年11月くらいから体を動かしてきましたし、大学の施設を借りてネットスローなど練習はしてきました。ランニングも結構やりましたし……。走れないと体も動かないので、年明けから早朝に公園を走ったりもしていました」
会見の前日には、立命大の室内練習場で大学の3年先輩にあたる西武の金子侑司を相手に打撃投手も務めたという。数日間共に練習し「初日にバットを3本折りました。いい練習になりました」と笑顔も見せた。
22年オフに現役引退を決意した当時は、現役に対しての思いはひと区切りついていた。
だが、現役への思いが再燃したのは昨年の6月だったという。