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「僕の責任だと思う」イラク戦後に打ち明けた“2人の選手”「撮影ルール無視の中東メディアも…」TVには映らなかった“まさかの敗戦”の裏側
posted2024/01/20 17:19
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
Getty Images
試合終了後のミックスゾーンはカオス状態だった。民族楽器を手に、まるで優勝したかのようにはしゃぎながらやって来るイラク選手を、これまた興奮状態で迎えるイラク記者たち。取材エリアは日本人記者とイラク記者でごった返しており、声が自然とハイトーンになっているイラク選手たちの間で、日本の選手の声は耳を凝らさなければ聞こえないほどの状況になっていた。
完全アウェーのムードに包まれたエデュケーションスタジアムは、2022カタールW杯の準々決勝でブラジルがクロアチアにPK戦の末に敗れた“番狂わせの会場”でもあった。
日本はイラクを相手に前半で2失点して1-2でまさかの敗戦。ミックスゾーンの明暗は常とはいえ、大抵の場合は勝利チームと敗戦チームの選手が出てくる時間帯が重ならなかったり、取材を受けるエリアが多少離れていたりするものなのだが、この日は明らかに取材スペースが不足しており、両者が入り混じっていた。
そこへ久保建英がやって来た。表情は硬かった。
久保が想定していた“試合プラン”
久保はイラク戦で今大会初先発。キックオフ時から野太いイラクコールがピッチに降り注ぐ異様な雰囲気の中、ボールを持つとひときわ大きなブーイングを浴びた。それ自体はスペインリーグでも慣れているだろうが、一方でどこか勝手の違うやりづらさを感じているようにも見て取れた。
ただ、取材エリアで受けた記者の質問に対して超速で答えを整理し、なおかつ思ったことを率直に語る姿はいつもの彼と変わらなかった。
本職のトップ下でのプレーについては、「予想と違って相手が4バックで来たというのもあった」と切り出しながら、「間でボールを受けてしっかり前を向けたらいいと思っていた。5バックなら僕のところに食いつくかなと思っていたけど、それでもタフに受けて前を向けたらいいと思っていた」と事前に描いていた青写真の一端を口にした。
それでいて、狭いスペースでもチャンスを作れる久保が中央で崩していく場面をほとんど見せることができなかったのはなぜか。