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仲間が証言する久保建英22歳の「新世代ムードメーカー」な現在…意外な選手が見せた“アニキぶり”も「TVには映らない」素顔の日本代表
posted2024/01/31 11:01
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
Getty Images
2011年にはわずか数棟だった超高層ビルが今では70を超えている。壮観の摩天楼を横に見ながら、ドーハの中心街を抜けてすぐの場所に日本代表の練習場がある。
日本代表が世界をあっと言わせたカタールW杯から1年あまり。2011年以来のアジアカップ優勝を目指して1月5日にドーハ入りした選手たちは、グループステージを苦しみながらも2位で突破し、現在はラウンド16で対戦するバーレーンとの試合に向けて調整に入っている。キックオフ時間はグループステージ3試合と同じ午後2時半。練習時間はそれに合わせてずっと午前に設定されており、まぶしい太陽の下で汗を流している。
カタールW杯ラウンド16のクロアチア戦で先制ゴールを決めた前田大然は開幕前、こう話していた。
「(得点したという)サッカーのイメージは関係なしに、暖かいのですごくやりやすい。(普段はスコットランドで)寒いところにいるので、日に当たってサッカーをするのってこんなにいいんや、って」
ただ、太陽の心地よさを感じるのと引き換えに、欧州とも日本とも違う気温はやはり大敵だ。この時期のドーハの最高気温は25度から27度くらいだが、日差しが強く、体感気温はもっと高い。選手は気候にアジャストするため、長袖、長ズボンで汗を流すなどそれぞれに工夫しながら高温仕様のコンディションをつくっていた。
仲間が証言した「ムードメーカー」久保建英の姿
今回の合宿でとにかく目を引くのは久保建英だ。ひげを伸ばしていた大会序盤は、練習前にミスするとヒゲを抜かれる罰ルール付きのリフティングで守田英正に思いっきり抜かれて苦笑い。全体練習の「鳥かご」ではおなじみの卓越したテクニックはもちろんのこと、大きな声で回数をカウントし、グループを盛り上げている。1月27日の練習では9対2の「鳥かご」で久保が入ったグループが鮮やかなパスの連続で50回超え。練習後の取材対応では、その場面を指したわけではないが「僕自身も今やっとコンディションが上がってきた」と満足そうだった。
その日はカタール在住の日本人学校の児童・生徒が見学に来ていた。練習場に久保が姿を現すと、ゴールパフォーマンスでおなじみの『K』ポーズで歓迎する子どもがいるなど、さすがの人気だ。
久保は見得を切るサービス満点の表情で何度も指で『K』をつくって応えた。練習後には選手と子どもたちが一緒になって、この日が誕生日の板倉滉のセレモニーを実施。「やりたい子は手を上げて!」と久保が率先して子どもたちを指揮しながら花道を作った。
久保自身が「そういう性格だなぁと思います」と言う、元来持つ明るさ、賑やかさは、思い返すと昨年6月20日のキリンチャレンジ杯ペルー戦で、取材後のミックスゾーンに爆音でラテン系音楽を流しながら登場した時から表立って見えていた。
今回の合宿にトレーニングパートナーとして参加していたU-19日本代表の本間ジャスティンは「久保くんがムードメーカーで盛り上げている。久保くんが話したらみんな笑う」と証言していた。
これには久保自身も首肯し、「盛り上げ役というか、うるさいだけなんで。僕よりいい意味でうるさかった長友(佑都)選手が抜けたことで、僕のうるささが目立っているだけなのかな」とフランクに言っていた。