箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
青学大、中大、國學院大…箱根駅伝の強豪校でなぜ「体調不良」が続出? 箱根の元ランナーが考えた理由「過酷な部内の競争」「メディア対応で…」
text by
酒井政人Masato Sakai
photograph byNanae Suzuki
posted2024/01/15 06:00
東京農業大学の1年時に箱根駅伝(1996年、10区)を走った筆者が考える、強豪校で体調不良者が続出した背景とは?
ライバルとの競争、共同生活……。普段過ごしている寮とは別の場所での陸上漬けの日々は、心身ともに消耗するのだ。寮に戻ってきても、相部屋が大半なので、ひとりの時間を持つのも難しい。
メディアからの取材もプレッシャーに
また注目選手にはメディアからの取材が殺到する。取材自体がストレスになることもあるだろうし、取材では「理想のレース」を語ることになる。その実現に向けて、ギャップがあるほど苦しくなるのだ。
以前、早大・竹澤健介(現・摂南大陸上競技部ヘッドコーチ)を取材したとき、故障で走れない状況だった3年時の箱根駅伝前はメンタルが崩壊しそうだったという。
「あいつ走れてない、というのが周りに伝播すると、ライバル校に勢いを与えちゃうかもしれない。箱根の前は超絶ストレスでした」
過度なストレスがかかると、食欲低下や睡眠障害につながり、さらに免疫力が低下することもある。
体調不良者続出の負の連鎖を食い止めるためには、メンタルケアを大切にする必要があるだろう。第100回大会では青学大の素晴らしい快走劇があっただけに、これまで以上に本番にバッチリ合わせる「調整力」が箱根駅伝の重要ポイントになるような気がしている。