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箱根駅伝、衝撃の「16校繰り上げ」はなぜ起きた? 「3区だけで1~10位が“3分39秒差”」「新シューズが追い風に?」「佐藤圭汰“大逃げ”宣言の影響」
posted2024/01/10 06:01
text by
酒井政人Masato Sakai
photograph by
Nanae Suzuki
青学大が10時間41分25秒の大会新記録で完勝した第100回箱根駅伝。例年より3校多い計23校が出場したが、復路スタート時に16校が「一斉スタート」(往路1位のゴールから10分を超えたチーム)となったことが話題になった。これは過去5年間(7、5、4、9、8チーム)と比べて、突出して多い数字だ。その一方で復路での「繰り上げ出発」(先頭通過から20分を超えたチーム)は順大、中央学大、駿河台大、山梨学大の4校のみだった。
往路の“2極化”はなぜ起きたのだろうか。その理由を探ってみたい。
5kmを14分00秒で行く
今大会の往路をめぐる戦いには盛大な“前振り”があった。2年連続の「駅伝3冠」を目指した駒大が誇るスピードスターの仰天コメントだ。
12月15日に行われたオンライン取材会で、10000m日本人学生歴代2位の27分28秒50を持つ佐藤圭汰(2年)が、「1区で絶対に区間賞を獲得して、区間新を出したい。5kmを14分00秒のペースでいきたいと思っています」と“大逃げ宣言”をしたのだ。
この翌日、早大も取材会を行った。山口智規(2年)が同学年の佐藤に対抗心を燃やしたのか、「これだけは言おうと思っていました。1区を走るなら、僕は(5kmを)13分59秒でいきます」と発言。上尾ハーフマラソンで大迫傑が保持していた早大記録を塗り替えた新エースも1区参戦を匂わせていた。
それをメディアが大々的に報じたこともあり、1区は“高速レース必至”という雰囲気が漂っていた。
じつは後続と差があまりつかなかった1区
実際はというと、駒大・佐藤は3区、早大・山口は2区での出走となったが、序盤の出遅れは、その後の選手たちのメンタル面にも大きく影響する。各校の指揮官たちは1区にエース級を起用してきた。