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山川穂高がソフトバンク4番「ほぼ侍ジャパン」のスタメンも…揃えれば勝てる“じゃない”野球「4年連続V逸」を防ぐための“ある提案”
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byJIJI PRESS
posted2023/12/27 11:02
山川穂高が加入したソフトバンク。予想されるスタメンがスゴかった…
布陣揃えば勝てる…じゃない野球
主にサッカーで聞くことが多い用語で、過密スケジュールによる主力選手の疲労回復や体力温存のために、試合に応じて先発メンバーを大きく入れ替える戦術のことである。
たとえばこんな具合だ。
●柳田欠場パターン
<中>周東 <遊>今宮 <左>近藤 <一>山川 <右>中村晃 <三>栗原 <指>ウォーカー <二>牧原大 <捕>甲斐(谷川原)
●近藤DHパターン
<中>周東 <指>近藤 <右>柳田 <一>山川 <左>中村晃 <三>栗原 <二>牧原大 <遊>今宮 <捕>甲斐
●山川欠場パターン
<中>周東 <左>近藤 <右>柳田 <指>ウォーカー <一>中村晃 <三>栗原 <二>牧原大 <遊>今宮 <捕>甲斐
最初のスタメン予想では名前を外していた中村晃の存在がじつは肝となる。今季は2年ぶりに規定打席に到達し、2018年以来となるシーズン140安打を放った実力たしかなベテランがいることで、相手への威圧感を落とさずにあらゆる打線を組めるというわけだ。
また、名前を出さなかったが来季4年目を迎える井上朋也は成長著しく、上手くハマれば三塁のレギュラーを奪う可能性もある。捕手では谷川原健太が甲斐拓也を脅かす存在になるとの声も大きくなっている。
「出場試合数の出来高」を変えてみては?
選手はもちろん試合に出ることを大前提に考える生き物だ。
今季、近藤と柳田は143試合フル出場を果たした。両選手とも残したあらゆる数字の中で最も誇れるものとして挙げたのが試合数だった。
柳田からはこんな言葉も聞いたことがある。
「球場には何万人ものファンの人が来てくれる。僕らにとっては何百分の一の試合かもしれないけど、その中にはこの一日しか球場に来る事が出来ない人もいると思う。その人がもし僕のファンで、僕が出ていなかったらガッカリしてしまう。プレーできる程度の痛みであればグラウンドに立つ。それがプロです」
この思いに異を唱えるような提案をしてしまうのは心苦しいが、ソフトバンクほどの巨大戦力を有しながら3年続けてV逸した現実を直視するのならば、過去の概念を取っ払う積極的チャレンジも必要なのではなかろうか。たとえば、球団フロントも試合出場出来高の最高値を130試合に設定するなどしてアシストすれば、多少なりとも選手は納得するかもしれない。2024年は現場とフロントがより一体となって、責任を共にして優勝という絶対条件をつかみ取りに行く、覚悟のシーズンとなるのではないかと見ている。