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先発トップ山本由伸、救援2位の松井裕樹がメジャーに去るが…3位以下を見ると「投手王国オリ」は盤石か〈パ投手:貢献度指標ランキング〉
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byNanae Suzuki/JIJI PRESS
posted2023/12/31 11:10
山本由伸と松井裕樹。MLBに挑戦するパ・リーグ産の剛腕はどんな貢献度指標を残したか
先発は、これに続いて西武。髙橋光成、今井達也に加え、今季は救援から転向した平良海馬が活躍した。ただ、その分、救援陣の成績が落ちたのは痛しかゆしと言うところか。ソフトバンクは先発陣の防御率が大きく下落。千賀滉大の穴を埋めることはできなかったのが、数字の上からもわかる。
楽天は先発防御率が2年とも最下位。若手は出てきているが、田中将大の成績低下が厳しいところだ。日本ハムは救援投手の防御率がぐっと良くなった。救援陣を固定したことが大きいだろう。
ここ2年の先発投手の“貢献度”を見てみると
以下、2022年と2023年の85イニング以上投げた先発投手のランキング15傑。リーグ防御率に基づく指標PR順。数字が大きい方が優秀。*は左投手。
〈2022年〉
山本由伸(オ)26試15勝5敗 193回率1.68 PR31.80
千賀滉大(SB)22試11勝6敗 144回率1.94 PR19.57
*加藤貴之(日)22試8勝7敗1H 147.2回率2.01 PR18.92
髙橋光成(西)26試12勝8敗 175.2回率2.20 PR18.80
佐々木朗希(ロ)20試9勝4敗 129.1回率2.02 PR16.43
山岡泰輔(オ)22試6勝8敗1H 128回率2.60 PR8.00
*田嶋大樹(オ)20試9勝3敗 125回率2.66 PR6.99
伊藤大海(日)26試10勝9敗1S1H 155.2回率2.95 PR3.68
與座海人(西)20試10勝7敗 115.2回率2.88 PR3.64
美馬学(ロ)20試10勝6敗 117.2回率2.91 PR3.31
石川歩(ロ)20試7勝7敗 123回率2.93 PR3.18
*エンス(西)23試10勝7敗 122.1回率2.94 PR3.03
*大関友久(SB)21試7勝6敗 101.1回率2.93 PR2.62
東浜巨(SB)23試10勝6敗 136回率3.11 PR0.8
〈2023年〉
山本由伸(オ)23試16勝6敗 164回率1.21 PR35.44
山下舜平大(オ)16試9勝3敗 95回率1.61 PR16.31
髙橋光成(西)23試10勝8敗 155回率2.21 PR16.28
*宮城大弥(オ)22試10勝4敗 146.2回率2.27 PR14.42
佐々木朗希(ロ)15試7勝4敗 91回率1.78 PR13.90
今井達也(西)19試10勝5敗 133回率2.30 PR12.64
平良海馬(西)23試11勝7敗 150回率2.40 PR12.58
有原航平(SB)17試10勝5敗 120.2回率2.31 PR11.33
則本昂大(楽)24試8勝8敗 155回率2.61 PR9.34
山岡泰輔(オ)31試2勝1敗3S8H 94回率2.3 PR8.93
西野勇士(ロ)18試8勝5敗 117回率2.69 PR6.05
*加藤貴之(日)24試7勝9敗 163.1回率2.87 PR5.17
上原健太(日)19試4勝7敗 101.1回率2.75 PR4.56
上沢直之(日)24試9勝9敗 170回率2.96 PR3.68
*大関友久(SB)17試5勝7敗 104.2回率2.92 PR2.73
オリックス山本由伸の「無双」ぶりが目立つ。PRは、ものすごかった2022年の数字をさらに上回っているのだ。ただ、山本の投球回数は、193回から164回と29イニングも減っている。実は今季の由伸は「あまり無理をしなかった」のだ。日本シリーズの第6戦では138球を投げて完投したが、シーズン中に限定すれば7月8日の西武戦で125球を投げたのが最多。120球以上は1度だけ。
2022年は8月19日の西武戦の135球をはじめ120球以上投げた試合が6試合もあったのだ。おそらく春先のWBCの疲労も考慮したのだろうが、中嶋聡監督は今季の山本を大事に使ったのだ。
舜平大に宮城…「由伸に続く投手」の存在が大きい
それができたのは「由伸に続く投手」が台頭してきたからだ。