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大谷翔平の衝撃FA…実際ドジャースはどう決まったのか? 最終候補が“消去法”で絞られていき…日本人が「北米史上最高額プレーヤー」になるまで 

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水次祥子

水次祥子Shoko Mizutsugi

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posted2023/12/11 17:02

大谷翔平の衝撃FA…実際ドジャースはどう決まったのか? 最終候補が“消去法”で絞られていき…日本人が「北米史上最高額プレーヤー」になるまで<Number Web> photograph by Getty Images

大谷翔平が「北米史上最高額プレーヤー」になるまで。その移籍劇を振り返る

じつは少ない「メジャーで大型契約の日本人」

 日本人選手が世界の契約金最高額を更新する日が来ると、誰が想像しただろうか。日本からメジャーに移籍する選手、特に投手は野茂英雄から始まる確かな実績の積み重ねによっていきなり高額の契約金を得る場合があったが、メジャーで自ら実績を積み上げ長期の大型契約を勝ち取った選手はほんの一握りだ。先駆的な存在はやはりイチローで、メジャー7年目の2007年7月にマリナーズと5年総額9000万ドルで2度目の契約延長を結んだ。その後、2012年にレンジャーズでメジャーデビューしたダルビッシュ有が2018年2月にFAとして6年総額1億2600万ドルでカブスと契約し、2023年2月には移籍3年目のパドレスと6年総額1億800万ドルで延長契約。メジャーで実績を重ねてから5年以上の長期大型契約を手にした日本人選手は、他にいない。MLBで長期の大型契約をつかむのは、それだけ大変なことだ。

大谷の移籍…最終段階で5球団に

「メジャーの全球団が欲しがる」とまでいわれた大谷争奪戦は、最終段階に入ったといわれた時点で5球団に絞られていた。

 まず、かねてから大谷獲得の最有力といわれ続けてきたドジャース。花巻東高時代から大谷を熱心にスカウトし続け、日本ハムからポスティングシステムでメジャー移籍を目指したときも獲得に乗り出すなど、古くからラブコールを送り続けてきた球団だ。

 そしてデビューから6年間過ごしたエンゼルス、高校の先輩である菊池雄星も所属しカナダのトロントに本拠地を置くブルージェイズ、歴史のある人気球団で仲の良い鈴木誠也が所属するカブス、スター選手の獲得が悲願であり積極的にアプローチをしてきたジャイアンツの5球団だった。

なぜ「異例」だったのか? 米記者たちのタメ息

 争奪戦は異例ずくめだった。

 徹底した情報統制が敷かれたことがそうだ。11月上旬に大谷が正式にFAとなり全球団との交渉が解禁されても、契約交渉に関する情報はほとんど表に出てこなかった。こうした情報は通常、米野球記者の中でも大御所クラスの有力記者によって何か動きがあるたびに発信されることが多い。それはジ・アスレチックのケン・ローゼンタール、ESPNのジェフ・パッサン、USAトゥデー紙のボブ・ナイチンゲール、ニューヨーク・ポスト紙のジョン・ヘイマンといったベテラン記者たちで、それぞれ強力な情報網を持ち確度の高い独自ニュースを発信することで信頼を得ている。

 そんな記者からも、大谷に関しては「ほとんど情報が入ってこない」という嘆きの声が出ていた。

【次ページ】 “消去法”で絞られていった移籍劇…「記憶にない」

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