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「阪神の監督は3年できん…寝れんのです」あの星野仙一が吐いた弱音…野村克也から岡田彰布まで「まるで大河ドラマ」38年ぶり日本一の“伏線” 

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岡野誠

岡野誠Makoto Okano

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posted2023/11/28 11:03

「阪神の監督は3年できん…寝れんのです」あの星野仙一が吐いた弱音…野村克也から岡田彰布まで「まるで大河ドラマ」38年ぶり日本一の“伏線”<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

今シーズン、阪神を38年ぶりの2度目の日本一に輝いた岡田彰布監督

 星野の体調は優れなかった。7月27日の中日戦では、1回表から5回表途中まで90分間もベンチ裏に退き、島野育夫ヘッドコーチが指揮を取った。阪神は夏場に停滞したものの、9月15日に18年ぶりのリーグ優勝を果たす。甲子園で7度宙に舞った闘将は優勝インタビューでマイクを向けられると、初めて公に本音を吐き出した。

「あーしんどかった」

 星野はシーズン中、同郷の先輩である三宅に胸の内を明かしていた。

「『阪神の監督は3年できん。そんなに長くやったら、体が壊れてしまう。無理や』と言うてた。中日も人気球団やけど、阪神は想像以上だったみたいやな」

岡田彰布が監督復帰するまで

 命を削って阪神を再建した星野はダイエーとの日本シリーズ終了後に退任し、04年から岡田彰布監督が就任。1年目は4位に終わるも、2年目はペナントを制し、以降も毎年優勝争いに絡んだ。しかし、13ゲーム差を巨人にひっくり返された責任を取り、08年限りで辞任。チームを変えた金本は10年に連続フルイニング出場が途絶え、12年限りで引退した。すると、徐々に阪神の悪しき伝統が顔をのぞかせ始め、ペナントから遠ざかった。

「優勝できるだけの戦力がありながら、あと一歩で届かなかった。野村さん、星野、岡田で阪神に行き渡ったはずのチームプレーの意識が薄れ始めていたからだと思う。元に戻りつつあった空気を締めたのが、今年の岡田だった。(長距離砲の)佐藤輝明にも状況に応じたバッティングを求めたし、フォアボールの大切さも力説した。やっぱり、チーム一丸にならないと日本一には届かんのよ」

 フロントの意識も変わった。今年、岡田監督の要望もあって、四球の査定ポイントを上げた。すると、リーグ1位の494に上昇し、トップの得点数555に結びついた。実は、野村監督に「ボール球を振るな」と口酸っぱく指摘された大豊泰昭は99年オフ、出来高払いの項目に四球の導入を要求したものの、管理部長に却下されていた。

【次ページ】 まるで大河ドラマ…阪神の監督史

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