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「阪神の監督は3年できん…寝れんのです」あの星野仙一が吐いた弱音…野村克也から岡田彰布まで「まるで大河ドラマ」38年ぶり日本一の“伏線”
text by
岡野誠Makoto Okano
photograph byNanae Suzuki
posted2023/11/28 11:03
今シーズン、阪神を38年ぶりの2度目の日本一に輝いた岡田彰布監督
「査定で掛け合ったように、岡田はフロントと直で通じていて、弁も立つ。でも、決してひけらかさんのよ。『ワシは上層部と話せる』なんて絶対に言わない。男の美学を持ってるんや。就任した時、『ポジションは固定する』『主軸にはバントをさせない』と宣言して、1年間ブレなかったでしょ。自慢もしないし、嘘もつかない。だから、選手に信頼されると思う」
まるで大河ドラマ…阪神の監督史
組織は歴史の上に成り立っている。慣習は一朝一夕には変えられない。タイガースに縁もゆかりもない野村克也、星野仙一が個人主義の悪しき風習を拭い、生え抜きの岡田彰布がチーム重視の姿勢を浸透させた。現在の主力が将来、監督やコーチになって、その伝統を受け継げば、阪神は何度でも優勝できるに違いない。
「昔の阪神はバラバラだった。今年はフロントや裏方含め、全員が同じ方向を向いていたと思う。『アレ』のために、岡田監督が『ヒットと四球は一緒』など短くてわかりやすい言葉で、フォア・ザ・チームの精神を浸透させた。それに、暗黒時代では考えられないほど、ドラフトで獲得した選手が当たっている。スカウトが良い素材を見つけて、首脳陣が育てた。だから、金本監督や矢野監督の時代も忘れちゃいけない。フロントの抜本的な改革をオーナーに直言したのは、野村監督と星野監督や。今の阪神の礎を作った2人もきっと、天国で喜んどるよ。島野ヘッドもな」
※1、2 2008年9月発行 金本知憲『覚悟のすすめ』(角川oneテーマ21)
※3 2003年6月9日付/デイリースポーツ