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阪神岡田監督がファンの野次に激怒「誰に向かって言っとんねん!」歴史的な失速で「Vやねん」事件も…15年前、第1次岡田時代はこうして終わった
posted2023/11/04 17:41
text by
近藤正高Masataka Kondo
photograph by
JIJI PRESS
今年流行語になった岡田彰布監督の「アレ」。じつはオリックス時代に使い始めた「アレ」がなぜ阪神で流行ったのか? ここでは、阪神ファンがトラウマになった“まさかの失速”4選をたどっていく。2回目は2008年編。【全4回の2回目/#1、#3、#4へ】
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2008年“大失速”はこうして始まった
2008年のシーズン前、阪神監督に就いて5年目の岡田彰布は、このときのチームにはその3年前に優勝したときほどの戦力はなかったので、まず補強で整備することにし、FAで広島から新井貴浩を獲得、さらにトレードでオリックスから平野恵一が加入した。投手陣は、ジェフ・ウィリアムズ、藤川球児、久保田智之の「JFK」が健在であり、岡田いわく《絶対的エースはいなくても、岩田稔ら若い投手たちの台頭もあり、バランスのいいチームで挑むことができた》(『ベースボールマガジン』別冊薫風号、2022年7月)。
開幕5連勝を決めた阪神はそのまま首位を独走、交流戦も優勝したソフトバンクと勝率で並び、難なくクリアした。これに対し巨人は、高橋由伸や二岡智宏が故障で離脱するなど主力打者が総崩れとなり、球団史上初の開幕5連敗でのスタートであった。7月に入って中日に替わり2位に浮上した巨人だが、阪神は8日の直接対決で勝って13ゲーム差をつけ、22日には早くも優勝マジック46を点灯させる。
岡田監督が激怒した「優勝する」事件
こうなると優勝間違いなし、というムードがチームに漂うのは当然であった。しかし、岡田はそれを許さなかった。交流戦中に記者から優勝について訊かれても煙に巻いたという話はすでに書いた(※1回目)。岡田はかなり神経をとがらせていたようだ。
7月中旬、あるコーチが番記者との会話のなかで「優勝する」という言葉を簡単に口にしていたことを知り、激怒する。そのコーチには直接、気を緩めるな、引き締めろと怒鳴ったという。もっとも、岡田もこの時点では内心、絶対に優勝できると信じて疑わなかった。
「Vやねん」もあった
歯車が狂い始めたのは、8月の北京オリンピックで藤川、新井、矢野燿大(当時・輝弘)が日本代表に選ばれたころからだった。