それでも、決して「ドアスイング」ではないのは、内角高め、顔のあたりの高さの難しいボールを、絶妙なバットコントロールで神宮バックスクリーンの右へ持っていった”驚弾”を目撃しているこの私が保証する。

「そうなんですよ……。（廣瀬）隆太の怖さって、そういうところなんです」

　大学ジャパンの一員として、スラッガー・隆太の本質を目の当たりにしてきたある投手の証言だ。

「不調だ、不調だっていいながら、リーグ戦になると、5本も6本もホームラン打つじゃないですか、打率なんて1割台なのに。それに、頭のあたりのボールでも打ちにいって、ちゃんと放り込んでしまう。アメリカでもそういうホームラン、見てきましたから。隆太みたいな想定外のバッティングしてくる打者って、ピッチャーからするとほんと、いちばん怖い打者なんですよ」

内野手編【2】上田西高・横山聖哉（181cm82kg・右投左打）

　今年のドラフト候補、「上手いなぁ」と思う遊撃手は何人もいるが「なんだ、こりゃ！」とビックリさせてくれた遊撃手は、高校生の彼だけだった。

　打って、守って、投げて……夏の甲子園にもやって来たが、開幕初戦で敗退してしまったので、上田西高・横山聖哉遊撃手（181cm82kg・右投左打）に対するファン方のたちの印象は薄かったかもしれない。

ドラフト目玉ベスト3　内野手編【2】上田西高・横山聖哉（181cm82kg・右投左打）　©NIKKAN SPORTS

　しかし、試合前のシートノックをしっかりご覧になったファンの方は、きっと「すごいな、このショート」と思われたはずだ。

　横山のフィールディングを見てください……とばかりに、監督はノックの打球を右に左に大きく散らす。

　二塁キャンバス付近へ、三塁寄りの深い場所へ。打球を追うスピーディーで、柔軟で、強靭な身のこなしは、アフリカの大地を駆けまわるヒョウの動きが重なって見える……といえば、みなさんは笑うだろうか。

　そして何より、その鉄砲肩だ。どの位置、どの距離から投げても、人の胸ほどの高さでまっすぐに一塁手に届く。肩も強いのだが、動きの中のボディバランスが素晴らしいのだ。

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