引き受けたからには友達ではなくプロとして

「森からは、移籍を機にもっと自分の野球人生を引き上げたい、変わらなあかんという決意を感じました。プロには数字（結果）というものがあるので少し不安もありましたが、僕が学んでいる身体の事は森のこれからの野球人生にはプラスしかないのだから、絶対に結果を残してくれると確信していました。そしてただの友達関係ではなく、お互いプロとして本気でやることを決意したんです」

　ホームの試合の際は、午前中と試合後に久米さんが必ず森の自宅を訪れてストレッチや治療などコンディショニングを行う。試合では、打席、守備と1球たりとも見逃さずに森を観察。立ち姿、体の使い方、呼吸に至るまでチェックし、打撃のバイオリズムと照らし合わせながら“答え合わせ”していく。森友哉という人間を徹底的に分析する時間だ。

オリックスに行ってよかった

「昔からずっと見てきたから、朝会って顔を見ただけでその日の感情や体調が分かる。バッティングの調子も立ち姿だけで分かります。調子が落ちてくると姿勢（立ち姿）が崩れる。その原因はどこからきているかを丹念に探し出していくんです」

　移籍1年目の今シーズンは、故障で2度の離脱があったものの規定打席に到達しパ・リーグ4位の打率.294をマーク。吉田正尚（ボストン・レッドソックス）が抜けた穴を埋める活躍でオリックスの3連覇に貢献した。

「中嶋聡監督のことも凄く尊敬していて、チームみんな仲が良いみたい。『オリックスに行ってよかった』っていつも言っています。生き生きと野球する姿を見るのは僕も嬉しいし、優勝した瞬間は凄い景色を見せてもらったなと感じました。でも当初の一番の目標は『日本一のキャッチャーになること』。だからそこも見たいなって」

20年近い不思議な縁

　知り合ってからは20年近い不思議な縁だ。キャプテンと副キャプテン。親友でありライバルだった2人は、時を経て選手と専属トレーナーというパートナーになった。

「ここまでくればお互いどっちかが死ぬまで切っても切れない縁だと思います（笑）。僕もさらに経験を積み重ねてレベルを上げて森と高め合っていきたい。まだまだ伸ばせる所はあるし、まだまだ活躍できます。その為にどうすればいいか日々考えるのは嬉しいし、凄く楽しいですね」

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