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ソフトバンク近藤健介に直撃「なぜ身長171cmでホームラン打てる?」への“深すぎる”回答…吉田正尚、森友哉にも当てはまる「天才の共通点」
posted2023/09/29 11:12
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
JIJI PRESS
ソフトバンク・近藤健介の三冠王獲得の可能性がシーズン大詰めにきて、再び膨らんできている。
11年間で52本塁打→今季すでに24本
9月28日終了時点でトップに立っているのは打点部門(84、2位はソフトバンク・柳田悠岐の80)のみだが、打率.2987でリーグ3位(1位はオリックス・頓宮裕真の.307)につけており、本塁打24本は同4位だが、トップ3人(楽天・浅村栄斗、ロッテ・ポランコ、日本ハム・万波中正)にわずか1本差と十分射程圏内につけている。
今春のWBCでヌートバーと大谷翔平の間に座る2番打者として世界一に貢献した近藤が好打者なのは、誰もが認めるところ。だが、まさか今季のホームラン王争いに絡むとは誰が想像しただろうか。
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昨季までの日本ハム時代の11年間で通算52本塁打。キャリア最多は2021年シーズンの11本塁打だった。今季はもう、その倍を超えている。
たしかに広くてフェンスの高い札幌ドームに比べれば、ホームランテラスのあるPayPayドームが本拠地になったことで本塁打数が増えるのはある程度期待されていた。だとしても近藤にどんな化学変化が起きたというのか。
なぜ激増? 長谷川コーチの考え
ソフトバンク・長谷川勇也一軍打撃コーチは、近藤のスイングが以前とは変わっていると解説する。
「フィジカル的なところのトレーニングももちろんやっていると思います。下半身がどっしりとして安定感があることで『バットの通り道』が出来ているという前提がある中で、僕が知っている日本ハム時代に比べてフォロースルーをしっかりとれるようになっている。もともと体の開きを抑えてヘッドを走らせて打つ能力に長けているのですが、普通はそのままバットが返るところを、近藤選手の場合はヘッドを走らせたまま大きなフォロースルーに持っていける感じがあります」
これは答えに近づく言葉ではなかろうか。
そもそも近藤に“ナゼ”の疑問を抱いた根本的な理由は、彼が長距離砲に見えないからだろう。ポランコは身長196cmの大男。いかにもスラッガー然としていて、そこに柳田(身長188cm)が対抗する図式ならば想像はしやすい。だが、近藤は身長171cm。プロ野球選手の平均身長とされる約180cmにも全く届かない。