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森友哉は新今宮駅のホームから飛び降りた…“伝説の人命救助”、親友が明かす「ふたりでおじいちゃんを抱えて」「死ぬまで切れない縁」

posted2023/10/21 11:01

 
森友哉は新今宮駅のホームから飛び降りた…“伝説の人命救助”、親友が明かす「ふたりでおじいちゃんを抱えて」「死ぬまで切れない縁」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

人命救助を行い、表彰される森友哉と久米健夫。大阪桐蔭時代から今に至るまでを同じポジションを争った同級生が振り返る

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佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

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 オリックスの3連覇に貢献した森友哉捕手。今も伝説に残る大阪桐蔭時代の「人命救助」にまつわる知られざる前日譚とは。大阪桐蔭高時代のチームメートで専属トレーナーを務める久米健夫(たてお)さんが当時の秘話と、2人の絆を明かした。〈全2回の後編/前編を読む〉

なぜ2人は咄嗟に飛び降りることができた?

「西武ドラ1森友哉が人命救助していた!」

 そんな見出しとともに“お手柄”が全国に伝えられたのは2013年12月9日。10月のドラフト会議で森が西武ライオンズから1位指名を受け、新入団選手発表会に臨む3日前のことだ。

 11月16日の朝、大阪市内を走る大阪環状線のJR新今宮駅のホームから、目の不自由な70代くらいの男性が誤って線路に転落。目撃した森と久米さんが約1・5m下の線路に飛び降り、協力して男性をホーム上に抱え上げてことなきを得た。2人はそのまま立ち去っていたが、後になって善行が明らかに。JR西日本大阪支社から感謝状を受けとった2人の勇気ある行動は、全国ニュースでも大きく伝えられた。

お互い「絶対1年目から活躍するんだ」

 2人はなぜその場に居合わせ、咄嗟に線路へと飛び降りることができたのか−−。

 夏の甲子園が終わり野球部を引退した森は、プロ入りという夢の先へ向かい「絶対にプロ1年目から活躍したい」という闘志を燃やしていた。一方で、関大に進学が決まっていた久米さんは「大学1年からどうしても試合に出たい」と決意を秘めていた。部活の練習は自由参加だったが2人はそこからタッグを組み、自主的に猛練習をすることにした。

「毎日2人で待ち合わせて朝早くから学校に行って練習。部活の練習にも参加して、夜遅くまでやっていました。お互い『絶対1年目から活躍するんだ』と誓い合って、部活から解放されたみんなが遊んでいる時でも必死にやりましたね。あの時間は今振り返ってもすごく印象深いし森との絆が深まった気がします」

今考えると怖いですよね

 2人が毎朝待ち合わせていたのがその新今宮駅。その日も朝の練習に向かうために乗り換えの電車を待っていた。たまたま後ろを振り返った久米さんの目に飛び込んできたのは、男性が線路に落ちる瞬間だった。

【次ページ】 明かさなかった善行…遅刻は「電車が遅れた」

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