サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
英国紙が絶賛「トミヤスはアーセナルサポーターを感動させた」一方で…じつはロンドン現地番記者を悩ます冨安健洋24歳「CBか?SBか?」問題
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph byGetty Images
posted2023/10/12 17:50
10月8日、リーグ戦で8年ぶりにマンチェスターシティに勝利したアーセナル。マルティネッリの決勝ゴール後に喜ぶ冨安健洋とウーデゴール
「まずアーセナルには、ウィリアム・サリバ、ガブリエル・マガリャンイス、ベン・ホワイトといったCBの名手がいる。CBの序列では彼らの方が上だろう。一方、SBの位置では左SBのキーラン・ティアニーがレンタルで移籍し(→レアル・ソシエダ)、左右両SBをこなせるユリアン・ティンバーが膝の怪我で長期離脱となった。それゆえ、冨安はSBの位置でプレーを続けると思う。
しかし、冨安のフィジカルの強さと両足でプレーできる能力は特筆に値する。今後CBの候補になっていくのは間違いない。リーグ杯のブレントフォード戦で良質のプレーを見せたように、カップ戦を中心に好パフォーマンスを続けていけば、序列に変化が生じるかもしれない」
「今日はやっぱり特別な日でした」
その冨安は、9月20日に行われた欧州CLのグループリーグ・PSV戦で後半13分から左SBとして途中出場した。24歳の日本代表にとって、CL出場はキャリア初。本人は「チャンピオンズリーグは、やっぱり夢のひとつでもありました」とし、大きな節目になったと話した。ただ、試合自体は平常心で臨めたという。
「いい意味で普通だったというか。そんなにCLということを意識しなかった。アーセナルでプレーすること自体が特別なことなので。プレミアリーグであれカップ戦であれ、いい意味でいつも通りのメンタル状態で入ったかなって感じです。
「(記者:7年ぶりのCL出場で、アーセナルサポーターの熱気が試合前から凄かったです)。それは間違いなくありました。選手だけじゃなく、サポーターの熱も感じた。
プレミアリーグはもちろん、どの試合でもサポーターは背中を押してくれる存在であります。選手にとっても、クラブにとっても、サポーターにとっても、今日はやっぱり特別な日でした。かなりいい雰囲気でやらせてもらいました」
さらに冨安は、10月8日に行われたマンチェスター・C戦で左SBとして途中出場。試合終盤にゴール前に駆け上がり、ロングボールをヘッドで折り返して決勝ゴールの起点となった。満面の笑みを浮かべて、スコアラーのFWガブリエウ・マルティネッリに抱きついたのが印象的だった。
キャリア初のCL出場、難易度の高い偽SBのタスク、アーセナルで初めてCBの位置で先発──。アーセナル挑戦3年目の冨安は、さらなる高みを目指して今も進化中なのである。