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「選手が金縛りにあったように…」巨人・原辰徳監督が退任後にポツリと漏らした“本音”「この2年半、チームが思うように動かずね」
posted2023/10/08 17:11
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Naoya Sanuki
巨人の原辰徳監督が今季限りで退任した。
2018年オフに高橋由伸前監督からバトンを受け3度目の指揮を執って5シーズン。19年、20年とリーグ連覇を果たしたが、その後の3年間は3位、4位、4位と低迷した。その責任をとる形で任期をあと1年残す中での辞任だった。
9度のリーグ優勝、3度の日本一という実績
10月4日の今季最終戦。試合後にグラウンドで行われたセレモニーで自らの退任と、バトンを渡す新監督に阿部慎之助ヘッド兼バッテリーコーチが昇格することを明らかにして、指揮官はファンと最後のお別れを行った。グラウンドを一周したその目は赤く潤み、菅野智之投手、坂本勇人内野手ら“原巨人”を支えた主力選手たちの目にもまた、熱いものが込み上げてきていた。
合わせて17シーズン、2407試合で1291勝(1025敗)は巨人の歴代監督の中でも最多勝利記録だ。9度のリーグ優勝と3度の日本一を達成した実績は「名将」と呼ぶにふさわしいものだった。
しかしその「名将」をもってしても、一度、狂った歯車をどうしても元に戻すことはできなかった。そしてその歯車が軋む音の中で、原監督自身のタクトにも微妙な変化が生まれていたのも事実である。
「この2年半……一昨年の7月くらいからチームが思うように動かずね……」
最終戦のセレモニー後に東京ドームで行われた記者会見。原監督がポツリと漏らした言葉が、このチームの抱える問題をクローズアップしている。
勝負どころで“打線の勝負弱さ”が露呈
もちろん敗因は様々だ。