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「無駄なリスクは負うな!」GKは怒鳴られた…“青森山田高の名将”黒田剛監督が改革したJ2町田、選手の本音は?「最初はマジかっ、と」
text by
栗原正夫Masao Kurihara
photograph byHideki Sugiyama
posted2023/09/08 11:12
FC町田ゼルビアのCB藤原優大(21歳、写真左)/GKポープ・ウィリアム(28歳)
「チームの先輩からLINEが来て、ニュースのリンクに『黒田監督が町田就任か』と。僕はヴェルディユースのときに青森山田と試合をしていたので、マジかっ!と(笑)。その後、黒田監督が出演しているサッカー系のYouTubeを見たら、発言に説得力があって。マネジメント論や強い組織を作るための考え方がしっかりしていたので、不安はまったくなかったです」
黒田監督のマネジメントにおいては、ミーティングが重視される(※前編参照)。
「話がうまいし、他の監督と比較すれば時間的には長いのですが、面白いなと思うことは多いですよ。練習前に監督1人で1時間近く話すこともあるので、ある意味で授業っぽいです。強い組織であるためにはどうしたらいいかだったり、順位表を見せて、次の試合の3ポイントの重要性を説かれたり。あとは“悲劇感”を意識しろ、といつも言われます。負けてから後悔しても遅いので、失点だったり、優勝を逃したことを想像して、そうならないための準備をしておけ、ということですね」
青森山田高時代からの“教え子”
現在の町田には7月に東京Vから電撃移籍で加わったバスケス・バイロンを含め、黒田監督の教え子でもある青森山田OBの選手が3人いる。その1人が浦和から育成型期限付き移籍中の藤原優大(21歳)である。
藤原は青森山田時代に全国選手権で1年から出場し、優勝。2、3年時にも準優勝。3年のときはキャプテンも務めている。
プロ3年目となる藤原は、黒田監督の就任とともに開幕前に町田にやってきた。黒田監督の転身をどう感じているのだろうか。
「そんなに驚きはなかったですね。高校年代で可能なことはすべて成し遂げたと思いますし。僕自身は、町田に就任するという報道が出たときに監督から電話をもらっていて。『町田でやらないか』と。
プロ入り後の2年間は環境に甘えていて思うようなキャリアを歩めていないと感じていたので、勝負の3年目に自分を見つめ直すためにも町田への移籍を決めました」
リーグ序盤は出場機会が限られていたものの、5月末の徳島戦からCBとして先発が増え、8月の4試合も全試合フル出場。ここまで21試合に出場している。
黒田監督の性格については「几帳面で、繊細。細かいことも、すぐに気がつく人」だと話し、藤原はこう続けた。
「誰しも、ときに手を抜きたくなることもあるじゃないですか。監督はそういう時を見逃さず、絶対に気を緩められない雰囲気を出してくる。とくに試合前はそうやって緊張感を高めてくれる。正直、監督とやれば自分もまた成長できるんじゃないかという思いもあります」
「“目の敵”にされるのは青森山田時代から」
青森山田で中高6年間を黒田監督とともに過ごしてきた藤原の目に、黒田監督の変化はどう映っているのか。