「そういう声もありますよ。やっぱり、チームにはいろんなサッカー観を持っている人がいますし。でも、そうした価値観を黒田監督にいい意味で覆された。サッカーでは、よく後ろでつないでいるときにミスが出て試合を壊してしまうシーンってあるじゃないですか。僕はヴェルディ出身ですし、大分時代も、そうした失点で勝ち点を落とすことを何度も経験してきました。

　見ている人からは、リスクを回避するサッカーは面白くないと言われるかもしれません。それでも勝つ確率が上がっているのは間違いないですし、今季も『（内容では負けながら結果）勝っちゃった』という試合が5、6試合はありました。あらためてサッカーは奥深い、ボールを握ることがすべてじゃない、と気づかされました」

©AFLO

　シーズン開幕前の紅白戦では、こんなシーンがあった。GKポープがビルドアップでボランチにつないだところ、ボールを奪われることが2度続いた。すると、黒田監督がいつになく怒り、「無駄なリスクは負うな」と怒鳴ったというのだ。

「僕としては、その段階ではどこからがリスクなのか、測りかねていました。でも、そうやってはっきり言われると、わかりやすい。以前はボールをつなぐことだけが正しいと信じていた部分もありました。この歳になって本当にいろいろ考えさせられています」

©Hideki Sugiyama

LINEが来て「マジかっ！と」

　黒田監督の就任に際しては、高校サッカーの監督からの異例の転身ということで、メディアでも注目が集まった。就任の報道を聞いた際に、率直にどう感じたのだろうか。

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