JリーグPRESSBACK NUMBER
「無駄なリスクは負うな!」GKは怒鳴られた…“青森山田高の名将”黒田剛監督が改革したJ2町田、選手の本音は?「最初はマジかっ、と」
posted2023/09/08 11:12
text by
栗原正夫Masao Kurihara
photograph by
Hideki Sugiyama
◆◆◆
昨季はJ2で15位に沈んでいたFC町田ゼルビアが首位を快走している。好調の要因は、33節を終えリーグ2位の失点の少なさとリーグ3位の得点数のバランスと言っていい(9月7日時点。町田は消化試合が1試合少ない)。
高校サッカー界の王者・青森山田から異例の転身を遂げた黒田剛監督。その黒田監督は「勝つ=守れること」というコンセプトを掲げ、守備の大切さを強調し、ここまで2位以下を勝ち点9以上引き離している。
では黒田監督の“改革”を選手たちはどう感じているのか。2人の主力選手に聞いた。
「昨年は攻撃、今は完全に守備」
リーグ戦では開幕から30試合続けてゴールを守ってきたGKポープ・ウィリアム(28歳)は「大幅にメンバーが入れ替わったので、昨季との比較は難しい」としながらもチーム好調の要因について、こう口にする。
「今季は選手もほぼ一新され、新しいチームに来た感じがします。キャンプでゼロからチームを作るなか、黒田監督は『失点をゼロに抑えれば、負けることはない』と常に言っていました。そうした意識がチームに浸透してきたことが結果につながっているのかなと思います。
シンプルですが、1対1で負けないとか、シュートブロックで最後まで体を張るという当たり前のことがチームとして徹底されるようになりました。去年まではどちらかといえば、チームコンセプトの比重は攻撃にありましたが、いまは完全に守備。僕は今年プロ11年目(町田では2年目)ですが、守備がしっかりしていればチームは大崩れしないと感じています」
昨季と比較して、守備意識の高まりを最後尾で守るポープが最も実感しているのかもしれない。
「マズい守備があれば、ミーティングで指摘されます。僕自身、(2019年と21年は)大分でプレーしていたので、そのときはGKがビルドアップに参加することもありました。いまは後ろでリスクを負うことなく、シンプルにエリキやデュークを目掛けて蹴るので、自分のやるべきこと(守備)に集中できているというのもあるかもしれません」
「無駄なリスクは負うな」怒鳴られた日
ポープは、足元の巧みなGKというイメージがある。昨季までチームとしてもボール保持を大切にしていたとなれば、「もう少しボールをつなぎたい」という声が選手から挙がってもおかしくなさそうだが……。