なでしこジャパンPRESSBACK NUMBER
17歳の岩渕真奈が“理想”と語ったある意外な選手とは?「努力してるけど、普段の様子からは全然見えないの」〈30歳で現役引退〉
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byHitoshi Mochizuki/AFLO
posted2023/09/07 17:00
ベレーザ時代の岩渕真奈(2009年、当時16歳)。女子サッカーに長く貢献してきたドリブラーは、9月8日の引退会見でどんな言葉を残すのだろうか
2020年はコロナ禍で東京五輪が1年間延期になり、東京五輪を終えてからと決めていた海外再チャレンジの時期もずれることになった。
「若い時は、東京オリンピック終わったら子供を産んで……、とか思ってました(笑)。落ち着いたら復帰できるしって考えてたんですけど、現実的にはそんなことはなくて(笑)」※2020年インタビュー〈岩渕真奈が五輪延期より残念なこと「海外の話を全部断りました」〉より
多くのアスリートと同様コロナ禍でライフプランがずれたことを明かしていた。
3年前に漏らしていた「代表」への強い思い
結局、東京五輪開催を待たず、2020年12月WSLアストンビラへ移籍した。この時は選手としての先をきっちり見据えていたようで、移籍を決断した理由についてこう話している。
「いつまでサッカーをやるんだろうって思って。オリンピックの時期だけでなく、自分の年齢を考えて。2021年に日本もプロリーグが始まるからもしそれを1年やったら2022年、そのあとW杯まで海外でプレーするとしたら1年しかできない」
と、2023年のW杯を一つの区切りとしているようだった。さらに、こうも言っていた。
「私にとっては世界と戦うのがサッカー。代表に選ばれなかったら応援できるかわからないから、そういうタイミングがきたらやめるのかなって、今は思ってる」
結果的にこの頃のイメージ通りの引退になったのか、それとも実は想定外だったのだろうか。
こうして振り返れば負傷も多く悩みも多かったはずだが、そんなことは感じさせない。10代の頃そうありたいと口にした理想を体現したまま、岩渕は引退する。