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17歳の岩渕真奈が“理想”と語ったある意外な選手とは?「努力してるけど、普段の様子からは全然見えないの」〈30歳で現役引退〉
posted2023/09/07 17:00
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph by
Hitoshi Mochizuki/AFLO
岩渕真奈は9月1日、現役引退を発表した。
この夏に行われていたW杯に臨む日本代表メンバーから落選し、所属していたWSLアーセナルも契約満了での退団が同時期に発表された。代表活動も、所属クラブもない全くフリーの状態になったからこそ次の一手は無限に可能性があるように見えた。
SNSを見れば岩渕はW杯関連の活動やサッカー教室、と忙しそうだった。W杯終了後に代表選手たちと再会している様子なども見られ、充実ぶりは伝わって来た。だが、次の動きは伝わってこない。そんな矢先の引退発表だった。
「もう、旬なところばっかり取材するんだから」
岩渕を最初に取材したのは2010年頃で、彼女はまだ高校2年生の終わりか、高校3年生になりたてだった。今ではもうなくなった〈iモード〉のサッカーサイトで日記のようなものを連載してもらうという企画で、私は聞き手として隔週か、月一度のペースで取材を行った。
岩渕はすでにU-17W杯でのゴールデンボール(最優秀選手賞)、AFCアジア年間最優秀ユース選手賞などを受賞し、U-20W杯に臨もうとしている時期だった。
岩渕が当時所属していた日テレ・ベレーザは東京Vと同じ施設で活動を行なっており、当時東京Vでプレーしていた富沢清太郎さん(横浜FMチーム統括部強化担当)に「もう、旬のところばっかり取材するんだから」と定期的に岩渕の元ばかり訪れることを茶化されたのをとてもよく覚えている。
つまり、それくらい岩渕は注目の存在だったのだ。