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「ああ、終わっちゃうんかあ」大谷翔平“あの最後の1球”の後ろで…“小指骨折”源田壮亮はこう思った「あれから…源田選手ですか?が増えました」 

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佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

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photograph byYuki Suenaga

posted2023/09/05 11:04

「ああ、終わっちゃうんかあ」大谷翔平“あの最後の1球”の後ろで…“小指骨折”源田壮亮はこう思った「あれから…源田選手ですか?が増えました」<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

西武ライオンズ、源田壮亮選手(30歳)。大谷翔平“あの最後の1球”の後ろで、源田が感じていたこととは?

「あれだけの選手が集まって、全員がチームのためにどんな場面でも全力で気持ちを前に出して、勝ちにこだわってやるという……。あのベンチから見た景色だったり、そこで見たもの、感じたことは絶対に忘れられない。ああ、なんか、ほんとにいいチームだな、って。すごく幸せな時間だったなあという思いは、今も心の中に残っています」

 2月の宮崎合宿から1カ月の戦い。加速度的に高まる注目度と、日本中から寄せられる熱い声援を感じてきた。凱旋後は、グラウンド上のみならず日常生活でもフィーバーを実感することもあった。

「お昼のテレビ番組もずっとWBCのことをやっていたり、注目されているんだなと感じていました。自分のSNSも大会中にどんどんどんどんフォロワーが増えていったり。みんなでそういう話をしていたんですよ。めっちゃ増えたね、WBCっていうのはすごいなあって。帰国後も球場以外のところで声をかけてくれたり、『源田選手ですか?』みたいな場面もすごく増えました。ありがたいですね」

 WBCを経て源田自身の中で最も変化したのは、日本代表として世界一を経験したことで高まった「自覚」だと明かす。

「より見られている、という感覚がある。自分のプレーとか、グラウンド上での姿で夢を与えることもできるし、逆にこう……悪いほうに作用することもある。だからこそやっぱり、自分がしっかりした姿を見せないといけない、という思いは一層強くなりましたね」

栗山監督の電話「迷惑かけてごめん」

 怪我の代償は大きく、チームに戻ってから約2カ月間の離脱を経て、一軍戦に復帰したのは5月26日のオリックス戦だった。試合前には、栗山監督から連絡が届いた。5カ月前のクリスマスイブとは違って、もう「見知らぬ番号からの不在着信」ではない。ここまでのリハビリを労うと共に、「迷惑かけてしまってごめん。今日からまた野球界のために頑張ってほしい」と背中を押された。

「栗山監督には本当に迷惑をかけたなあと思っています。僕をチームに残すという決断は本当に大変な覚悟だったと思う。もし結果が伴わなかったら、そのことで色々と言われていたかもしれない。そんなこともひっくるめて、チームに残してくれて、最後まで起用してもらってすごく感謝しています。本当に……感謝しかないですね」

 右手小指にはまだ引かぬ腫れ。激闘の痕跡と共にその胸に残るのは、幸福な世界一の景色と確かな絆だ。

<前編《ケガの真相》から続く>

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