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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「ああ、終わっちゃうんかあ」大谷翔平“あの最後の1球”の後ろで…“小指骨折”源田壮亮はこう思った「あれから…源田選手ですか?が増えました」
posted2023/09/05 11:04
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
Yuki Suenaga
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「小指だったらなんとかなる」
「右手小指骨折、全治3カ月」――。絶望的な診断を受けながらも、源田はWBCの戦いをやめようとはしなかった。
「他の指だったら投げられないと思うけれど、小指だったらなんとかなる。今までの野球人生でも手は怪我をしてきました。指も曲がっていたり、2カ所も粉砕骨折していますし、結構色々やってきているので。だからどうにかなるな、って」
患部を固定しテーピングで補強しながら、送球や打撃の際に負荷がかからない方法を探った。バットを振る中で、どうすればボールが当たる衝撃を患部からうまく逃がすことができるのか。4本の指で今まで通り正確に強い送球ができるのか。
一方で、首脳陣には迷いもあった。負傷したまま強行出場させていいのか。その後の野球人生を思い、代表辞退する道も示した城石コーチに、源田は首を振った。
「この怪我のために(残りの)野球人生を棒に振るかもしれない、というような考えは一切なかったです。絶対治る、全然どうにかなる、と思っていたので。WBCはちっちゃい頃から見ていましたし、それで夢をもらって野球をずっとやってきた。先行発表の12人に栗山監督からも選んでもらって最後まで絶対戦い抜いてやる、という気持ちをずっと持っていました」
栗山監督「源ちゃん、手、大丈夫ね?」
所属のライオンズも松井稼頭央監督、渡辺久信GMら首脳陣が源田の熱意を尊重しバックアップした。1次ラウンドの残り2試合は欠場しながらも復帰への準備を進める。
「帰ったらすぐに治療、という感じの毎日。骨折の治療器だったり、色々なものを使って、できることは全部やったという感じです。牛乳も飲んでいましたよ。元々好きでしたけど、骨が早くくっつくように、って」