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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「痛っ、最悪やあ」右手小指があらぬ方向に…源田壮亮がいま明かす、WBC“あのケガの真相”「レントゲン写真を見た瞬間、先生があれ?って」
posted2023/09/05 11:03
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
Yuki Suenaga
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激闘の痕跡は今なお、その指に残っている。
「腫れとかは全然、まだ引かないんですよ」
微笑みながら掲げた源田壮亮の右手は、小指の関節が痛々しく膨れ上がっていた。日本中を釘付けにしたWBCの激闘から約半年。ライオンズのキャプテンとしてシーズン終盤の激しい戦いを率いる源田にとってそれは、激闘の“代償”なのか、栄光の“勲章”なのか――。短くも濃い戦いの記憶と、あの怪我の真相を静かに振り返った。
「栗山英樹です。またかけ直します」
吉報を受けたのは、昨年の12月24日、クリスマスイブのことだ。家族で静かに過ごすオフシーズンの携帯電話に、見知らぬ番号からの着信履歴と共にショートメッセージが入っていた。
「栗山英樹です。またかけ直します」
慌てて電話をかけ直すと、指揮官の高い声が響いた。
「栗山監督から、『一緒に世界一になるために力を貸してほしい』と言っていただきました。『1日早いクリスマスプレゼントだ』っていうことで。ぜひお願いします! 頑張りますって伝えました。本当にクリスマスプレゼントを頂いたような思いでした」
プロ1年目の2017年秋に行われたアジアプロ野球チャンピオンシップで初めて日本代表に選ばれて以降、19年のWBSCプレミア12、21年の東京五輪と日の丸ユニフォームに袖を通してきた。だが代表選手としての立ち位置は今回、明らかに異なっていた。内野手7人には、東京五輪まで主力だった坂本勇人(巨人)や浅村栄斗(楽天)といった名前がなく、源田はチームの「核」としての期待を背負っていた。何より1月6日に先行発表された12人のメンバーに名を連ねていたことが指揮官の絶対的な信頼の表れだった。
「メンバーが揃ってみると今までより年齢層が若くて。僕と同学年の(甲斐)拓也だったり、(山田)哲人だったり、何度かジャパンを経験してきた人たちでうまく声を掛け合いながらやっていってほしい、ということは栗山監督からも言われていました。今までのように先輩たちについていく、というような感じではなかったですね、やっぱり。今回は自分が引っ張っていく! じゃないですけど……」
ダルビッシュと“6時間の寿司会”
3大会ぶりの頂点を目指し馳せ参じたメジャーリーガーからも大いに刺激を受けた。2月中旬にスタートした宮崎合宿では、最年長のダルビッシュ有(サンディエゴ・パドレス)と投手・野手の垣根を越えてコミュニケーションをとったという。