酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「甲子園で完投後、毎週スカウトさんが」「一度は社会人に行きますと」元プロ→高校野球指導者の35歳「高校生ドラ3」指名までのウラ話
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKou Hiroo
posted2023/09/02 17:00
プロ野球選手を経て東邦高校のコーチを務める木下達生氏に話を聞いた
〈当時の僕は中日から評価されなかったとの思いがあったので「社会人に行きます」と一度はお断りしました。
でもこの年の日本ハムが高校生1巡目に指名した陽仲壽(福岡第一高、のちの陽岱鋼)と2人で、北海道の施設見学に行ったんです。日本ハムが札幌ドームに移転して2年目でしたが、施設はすごくきれいで、それからバスで寮なども回ったのですが、行く先々でファンの方が待っていてくださって、ファンレターを渡してくださったんです。今でも家にありますが、100通くらいあって、ファイターズで頑張ってほしいと熱い言葉が書いてありました。それを受け取って、日本ハムで頑張らないと、と思ったんです〉
こうして日本ハムに入団した1年目の春季キャンプ、ブルペンで手ごたえを感じていたという。しかしその思いは、8月、自身にとっての一軍デビューとなった初登板で、当時西武の主砲だったカブレラに打ち砕かれる――。
<第2回「プロ生活での天国と地獄」に続く>