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「エンドウ移籍は天才的な大当たりだ」遠藤航のリバプール30億円移籍直後、クロップ監督のスマホに届いたメッセージ…英国人記者が明かすウラ側
text by
ジェームズ・ピアース(The Athletic)James Pearce
photograph byGetty Images
posted2023/08/28 18:37
8月18日、リバプールに電撃移籍した遠藤航。8月27日のニューカッスル戦(2-1逆転勝ち)で初先発を果たした
第一ターゲットは、ブライトンに在籍したエクアドル代表MFのモイセス・カイセドだ。ブライトンとチェルシーの交渉が長引いていたところに、リバプールは1億1100万ポンドの獲得オファーを提示し、ブライトンとクラブ間合意に達した。ところが、カイセド本人がチェルシーへの移籍を希望。交渉は破談に終わった。
その後、リバプールはターゲットをサウサンプトンのベルギー代表MFロメオ・ラビアに切り替えた。段階的に移籍金を引き上げて契約に近づいたが、こちらもラビアが「チェルシーと契約したい」と言い出して成立しなかった。
遠藤の移籍話が具体的に進み出したのはここからだ。
夏の移籍期間が始まったタイミングで、遠藤の名も守備的MFの補強リストに載っていた。そしてカイセド、ラビアの補強が叶わなくなると、遠藤がリストのトップに躍り出た。8月14日の月曜日、クロップ監督はリクルート部門のスタッフとミーティングを開き、日本代表MFの獲得に動くと決断したのだ。
では決め手はどこにあったか。
クロップ監督は、ブンデスリーガで活躍する遠藤の成長を興味深く見続けており、ドイツから次のステップ、つまりプレミアリーグに進む準備ができていると感じていた。また56歳の指揮官は、遠藤のメンタル面にも注目した。
今オフ、リバプールではジョーダン・ヘンダーソンやロベルト・フィルミーノ、ジェームズ・ミルナーといった経験豊富な選手が数多く退団した。シュトゥットガルトでキャプテンを務めた遠藤のリーダーシップは貴重な力になると、クロップ監督はそう考えたのだ。
【2】「優れた目利き」ミスリンタート
2人目のキーマンが、クロップ監督がドルトムントで共闘したスベン・ミスリンタートである。
「優れた目利き」として知られるミスリンタートは、ドルトムントのスカウトとしてロベルト・レバンドフスキやピエール=エメリク・オーバメヤン、香川真司などを発掘した実績がある。ドルトムントで共に栄冠を掴んだクロップ監督とは、今でも深い絆で結ばれている。
現在、彼はアヤックスのFD(フットボールディレクター)として活躍しているが、19~22年までシュツットガルトのSD(スポーツディレクター)を務めた。この間、ベルギーのシント・トロイデンでプレーしていた遠藤に目をつけたのが、ミスリンタートだった。シュツットガルトへの移籍をまとめ、日本代表をチームの中心選手に成長させた。クロップとミスリンタートは今でも密に連絡を取り合っており、遠藤の能力や人柄について情報を共有していた。